みらい(新人医療事務)
先輩、脳神経外科の手術レセプトを見ていたら「脊髄刺激電極2本留置加算」って項目があって、8,000点って書いてあったんです。これ、どんな時に付く加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
これは「K190 脊髄刺激装置植込術」という手術に紐づく加算ですね。慢性的な痛みに対して脊髄刺激装置(SCS)を植え込む手術で、電極を2本留置した場合に本体の点数へ8,000点が上乗せされる仕組みです。まずは元になる手術の点数構成から確認していきましょう。
この加算はどんな手術に付くもの?
みらい(新人医療事務)
「K190」ってどんな手術なんですか?
あおい(元・医療事務)
慢性の難治性疼痛に対して、脊髄の近くに電極を植え込み、電気刺激で痛みを緩和する手術です。厚生労働省の留意事項通知には「薬物療法、他の外科療法及び神経ブロック療法の効果が認められない慢性難治性疼痛の除去又は軽減を目的として行った場合に算定する。」と書かれています。
みらい(新人医療事務)
つまり、他の治療法を試してから最後の手段として行う手術ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。K190には大きく分けて「電極を留置した場合」と「ジェネレーター(刺激発生装置本体)を留置した場合」の2区分があり、電極を2本留置したときに、この「脊髄刺激電極2本留置加算」が上乗せされます。
点数を確認する(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的な点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表では、次のように整理されています。
| 区分 | 内容 | 点数 |
|---|---|---|
| K190「1」 | 脊髄刺激電極を留置した場合 | 27,830点 |
| K190「2」 | ジェネレーターを留置した場合 | 16,100点 |
| 注加算 | 脊髄刺激電極を2本留置する場合 | 所定点数に8,000点を加算 |
あおい(元・医療事務)
一次資料の該当箇所には「K190 脊髄刺激装置植込術 1 脊髄刺激電極を留置した場合 27,830点 2 ジェネレーターを留置した場合 16,100点 注 脊髄刺激電極を2本留置する場合は、8,000点を所定点数に加算する。」と記載されています。

みらい(新人医療事務)
「2本留置」というのは、片側だけじゃなく両側に電極を入れる場合、というイメージですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料には電極の解剖学的な留置部位までは記載されていません。「電極を2本使用したかどうか」がこの加算の判定ポイントで、具体的な留置方法や適応の是非は執刀医の術式選択・診療録の記載で確認する必要があります。
試験刺激とリード抜去の取り扱い
みらい(新人医療事務)
手術する前に「試しに刺激してみる」みたいな工程があるって聞いたことがあります。
あおい(元・医療事務)
はい、脊髄刺激療法では本格的な植込みの前に試験刺激(トライアル)を行うことが一般的です。留意事項通知には『試験刺激を実施し、効果判定時に効果なしと判断されリードを抜去した場合、その費用は「1」の所定点数に含まれ別に算定できない。』と注記されています。
みらい(新人医療事務)
つまり、試験刺激をしたけど効果がなくてリードを抜いた場合は、その分を別立てで請求してはいけないということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。試験刺激からリード抜去までの一連の費用は「1」の所定点数に含まれる扱いになるため、別算定を試みないよう注意が必要です。
施設基準・届出は?(要確認)
みらい(新人医療事務)
この手術や加算に、施設基準や届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、K190及び本加算に特有の個別の施設基準(届出)は確認されていません。ただし、厚生労働省の別の通知では、この手術の区分が次のように整理されています。
| 確認項目 | 一次資料で確認できる内容 |
|---|---|
| 手術の区分 | C23「別に定める手術(5日間)」に、脊髄刺激装置植込術(脊髄刺激電極を留置)(150398010)・同(ジェネレーターを留置)(150398110)として記載 |
| 加算固有の届出 | 当サイトが収録している一次資料の範囲では確認されていません |
| 実施科の体制 | 一次資料に明記なし。自院の体制で確認が必要 |
あおい(元・医療事務)
同通知の該当箇所には「C23 別に定める手術(5日間) 150398010 脊髄刺激装置植込術(脊髄刺激電極を留置) C23 別に定める手術(5日間) 150398110 脊髄刺激装置植込術(ジェネレーターを留置)」と記載されています。
みらい(新人医療事務)
「C23」というのは何ですか?
あおい(元・医療事務)
短期滞在手術等基本料3の対象手術を定めた区分の一つです。短期滞在手術等基本料3で算定するか、出来高で算定するかによって、この加算を含めた費用の取り扱いが変わる可能性があります。自院がどちらの算定方式を採用しているかも、あわせて確認することをおすすめします。
施設基準は必ず自院で確認
本加算そのものに専用の届出様式があるかどうかは、当サイトが収録している一次資料の範囲では確認できていません。実施科の体制や算定方式(出来高/短期滞在手術等基本料3)によって取り扱いが変わりうるため、地方厚生局への確認をおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にレセプトを見るとき、どんな順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認していくと整理しやすいですよ。
自院で確認する順番
- 対象患者の確認 — 薬物療法・他の外科療法・神経ブロック療法の効果が認められない慢性難治性疼痛の患者であるか
- K190「1」の算定確認 — 脊髄刺激電極を留置した場合の27,830点を算定する手術であるか
- 電極本数の確認 — 診療録・手術記録で電極を2本留置したことが明記されているか
- 試験刺激の扱いの確認 — 試験刺激からリード抜去までの費用を別立てで請求していないか
- 算定方式の確認 — 出来高算定か短期滞在手術等基本料3かを確認し、加算の取り扱いを整理する
- レセプト記載の確認 — 加算の根拠となる手術記録・診療録の記載が整っているか
よくある取り漏れ・注意したいポイント
みらい(新人医療事務)
現場で間違えやすいところはどこですか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。順に見ていきましょう。
取り漏れやすいポイント(1)
電極が2本か1本か: 手術記録上は「電極留置」とだけ記載され、本数が診療報酬の算定担当者に伝わっていないケースがあります。2本留置していれば8,000点の加算候補になるため、手術記録の本数記載を必ず確認しましょう。
取り漏れやすいポイント(2)
「1」と「2」の混同: K190「1」(電極留置)と「2」(ジェネレーター留置)は別区分の点数です。電極留置の加算(8,000点)を、ジェネレーター留置の点数に誤って加算しないよう注意が必要です。
試験刺激の別算定に注意
試験刺激を行い効果がなくリードを抜去した場合の費用は、K190「1」の所定点数に含まれます。試験刺激分を別の手技料として重複請求しないよう、術前後の診療録を確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から、この加算に変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)からの本加算に関する変更点は、当サイトが収集している一次資料の範囲では確認されていません。本記事に記載した点数・算定要件は、令和8年度(2026年度)時点の医科点数表・留意事項通知に基づくものです。改定のたびに点数や取扱いが見直される可能性があるため、算定の都度、最新の一次資料をご確認ください。
関連する加算・管理料もあわせて確認
みらい(新人医療事務)
脊髄刺激装置を植え込んだ後、患者さんが自宅に戻ってからの管理にも何か点数があるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。植込型脳・脊髄刺激装置を植え込んだ後、在宅で自己疼痛管理を行う患者には 在宅自己疼痛管理指導管理料 が、疼痛等管理用の送信器を使用する場合には 疼痛等管理用送信器加算 が、それぞれ算定候補になります。手術から在宅管理までの一連の流れで確認しておくと、算定漏れを防ぎやすくなります。

電極1本と2本での違いを整理する
みらい(新人医療事務)
最後に、電極が1本の場合と2本の場合の違いを整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
表にすると次のようになります。
| 留置本数 | 基本点数(K190「1」) | 本加算の対象 |
|---|---|---|
| 電極1本 | 27,830点 | 対象外(加算なし) |
| 電極2本 | 27,830点 | 対象候補(+8,000点) |
みらい(新人医療事務)
本数さえ確認できれば、加算候補かどうかの見当はつけやすそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし、加算候補になるかどうかは電極本数だけでなく、対象患者の要件や記録の整備状況もあわせて確認する必要があります。最終的な判断は自院の診療内容と公式資料で確認してください。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省の公式資料を根拠としています。詳細は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
医科点数表(K190 脊髄刺激装置植込術) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)、基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第7号)は、厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」のページから最新の通知本文をご確認ください。 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。