上顎骨複数分割加算とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「上顎骨複数分割加算」ってレセプトで見かけたんですけど、これってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の医科点数表にある、手術の点数区分「K443 上顎骨形成術」に対する加算です。上顎骨形成術には「単純な場合」「複雑な場合及び2次的再建の場合」「骨移動を伴う場合」の3つの区分があるんですが、この加算が対象にしているのは「単純な場合」を実施し、上顎骨を複数に分割したケースです。
みらい(新人医療事務)
「複数に分割した」というのがポイントなんですね?
あおい(元・医療事務)
そうです。厚生労働省の点数表には「1について、上顎骨を複数に分割した場合は、5,000点を所定点数に加算する。」と明記されています。単純な場合の手術であっても、上顎骨を一体のまま移動させただけでは、この5,000点の加算対象にはなりません。
みらい(新人医療事務)
上顎骨形成術って、そもそもどんな手術なんですか?
あおい(元・医療事務)
上顎の骨を切り離して移動させる外科手術で、先天的な発育不全や外傷後の変形などに対して行われるものです。区分ごとに手術の内容と点数が大きく異なるので、まずはどの区分の手術が行われたか、そのうえで骨を複数に分割したかどうかを確認することが出発点になります。
点数・算定コードの確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的な点数を整理して見せてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、令和8年度(2026年度)時点でのK443 上顎骨形成術の点数区分と、今回の加算の関係をまとめるとこの表になります。
| 区分 | 内容 | 点数 |
|---|---|---|
| 1 | 単純な場合 | 27,880点 |
| 2 | 複雑な場合及び2次的再建の場合 | 45,510点 |
| 3 | 骨移動を伴う場合 | 72,900点 |
| 注1加算 | 1(単純な場合)で上顎骨を複数に分割した場合 | +5,000点 |

みらい(新人医療事務)
この「上顎骨複数分割加算」の5,000点は、区分1にしか付かないんですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。点数表の条文では「K443 上顎骨形成術」の注として「1について、上顎骨を複数に分割した場合は、5,000点を所定点数に加算する。」と記載されており、対象は明確に区分1(単純な場合)に限定されています。区分2(複雑な場合及び2次的再建の場合)・区分3(骨移動を伴う場合)にこの5,000点加算は適用されません。
みらい(新人医療事務)
マスターコードのようなものはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが把握している範囲では、この加算に対応する診療行為マスターコードの個別掲載は確認できていません。レセプトへの記載方法や具体的なコードについては、医科診療行為マスターや自院のレセコンの設定で確認することをおすすめします。
どんな場面で算定候補になりますか?
みらい(新人医療事務)
この加算、うちのクリニックでも関係ある場面ってあるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
K443上顎骨形成術「単純な場合」は、留意事項通知によれば「上顎骨発育不全症又は外傷後の上顎骨後位癒着等に対し、Le Fort Ⅰ型切離により移動を図る場合」を指します。そのうえで、この加算そのものは「上顎骨発育不全症、外傷後の上顎骨後位癒着、上顎前突症、開咬症又は過蓋咬合症等に対し、Le FortⅠ型切離を行い、上顎骨を複数に分割して移動させた場合」に算定すると通知に明記されています。この条件に当てはまる手術を実施し、記録上も複数分割が確認できる場合が算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
Le Fort Ⅰ型切離を1本のまま移動させた場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
単一の切離のまま移動させたケースでは、この5,000点の加算対象にはなりません。通知の文言があくまで「上顎骨を複数に分割して移動させた場合」と限定しているためです。これは対象外と決めつけるというより、まず「手術記録上、骨をいくつに分割したか」を確認するべきポイントとして押さえておくとよいと思います。単純な場合の手術自体は行っているが分割の記録がはっきりしない、というケースは要確認として扱うのが安全です。
施設基準・届出は必要ですか?
みらい(新人医療事務)
外来感染対策向上加算みたいに、事前の届出とか施設基準ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
今回確認した点数表の条文・留意事項通知には、この加算について届出や個別の施設基準に関する記載は見当たりませんでした。区分1の手術で上顎骨を複数に分割して移動させたという手術の実施内容そのものに連動して所定点数へ加算される仕組みと考えられます。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、地方厚生局への事前届出は不要ということですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できた資料の範囲では、外来感染対策向上加算のような「施設基準に適合しているものとして届け出る」という枠組みの記載は見つかっていません。ただし、これは今回確認した一次資料の範囲での整理ですので、届出の要否については自院のレセプト担当者や地方厚生局、審査支払機関に念のため確認していただくのが確実です。
断定はできません
届出に関する記載が確認できていない、という状態であり、「届出が一切不要」と保証するものではありません。最終的な取扱いは自院の状況と審査支払機関の判断で確認してください。
算定タイミングと注意点: 注1と注2を混同しない
みらい(新人医療事務)
さっき「注」って言葉が出てきましたけど、他にも注意点ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、ここは特に注意が必要なポイントです。K443上顎骨形成術の条文には、注が2つあります。
注1と注2は別のルール(混同注意)
注1(この記事の加算): 「1について、上顎骨を複数に分割した場合は、5,000点を所定点数に加算する。」→ 区分1(単純な場合)が対象。
注2(別のルール): 「3については、先天奇形に対して行われた場合に限り算定する。」→ 区分3(骨移動を伴う場合)が対象で、算定できる条件そのものを先天奇形の場合に限定するルール。5,000点加算とは無関係。
みらい(新人医療事務)
注1と注2、対象になっている区分の番号からして全然違うんですね!
あおい(元・医療事務)
そうなんです。「上顎骨複数分割加算」という名前だけを見ると、上顎骨形成術全体にまとめて何か加算やルールが付くように見えてしまいますが、実際には区分ごとに条件が分かれています。注1は区分1にだけ関わる5,000点加算、注2は区分3の算定条件そのものの限定です。レセプトを確認する際は、どの区分の手術に対する記載なのかを区別して見る必要があります。
みらい(新人医療事務)
他に気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
同じK443上顎骨形成術には、区分を問わず別途上乗せされる機器加算もあります。次の章で、その代表例として創外固定器加算(K932)との違いを整理しますね。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
今回、当サイトが確認できた令和8年度の一次資料(診療報酬の算定方法の一部を改正する件)の範囲では、K443上顎骨形成術の点数区分・注1の5,000点加算・注2の算定条件について、前回改定(令和6年度)からの変更点を示す記載は確認されていません(確認日: 2026年8月・厚労省一次情報ベース)。
みらい(新人医療事務)
「確認されていない」というのは「絶対に変わっていない」ということですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこは言い切れません。当サイトが参照した一次資料の範囲で突き合わせた結果、変更を示す記載が見当たらなかった、という状態です。点数や算定条件は改定のたびに見直される可能性がありますので、最新の告示・通知を都度ご確認いただくことをおすすめします。
関連加算: 創外固定器加算(K932)との違い
みらい(新人医療事務)
「創外固定器加算」って、この上顎骨複数分割加算と関係あるんですか?
あおい(元・医療事務)
同じK443上顎骨形成術という手術を土台にしている点は共通していますが、対象になる条件がまったく違います。留意事項通知には、創外固定器加算について「『K443』上顎骨形成術については外傷後の上顎骨後位癒着、上顎骨発育不全症又は症候群性頭蓋縫合早期癒合症等の先天異常に対しLe Fort I、II又はIII型骨切離による移動を創外固定器により行う場合...に算定する。」と記載されています。
みらい(新人医療事務)
つまり、上顎骨複数分割加算とは全然別の条件なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。今回解説している「上顎骨複数分割加算」(5,000点)は、区分1(単純な場合)でLe Fort I型切離を行い、上顎骨を複数に分割して移動させた場合に付く加算です。一方、創外固定器加算は、区分を問わずLe Fort I・II・III型いずれの切離であっても、その移動を創外固定器という器具を用いて行った場合に算定候補になるものです。「同じK443に関わる加算だから同じ条件」と早合点せず、それぞれの条件を個別に確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
下顎の方にも似たような加算があるって聞いたことがあります。
あおい(元・医療事務)
そうですね。下顎骨形成術(K444)にも、両側同時実施を条件とする下顎骨形成術加算という別の加算があります。同じ「骨形成術に対する手術加算」という考え方は共通していますが、対象になる骨(上顎か下顎か)と条件(複数分割か両側同時か)が異なりますので、混同しないよう注意してください。
加算名の混同に注意
上顎骨形成術に関連する加算は複数あり、対象区分(1〜3)や条件(複数分割/先天奇形限定/創外固定器の使用など)がそれぞれ異なります。レセプトを作成する際は、どの加算がどの条件に対応しているかを一次資料の条文で個別に確認してください。
自院での確認手順
みらい(新人医療事務)
うちの医療機関でこの加算が算定候補になるか確認したい場合、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな流れで確認するとわかりやすいです。
自院で確認する順番
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手術記録を確認 — K443上顎骨形成術のうち、区分1「単純な場合」を実施したかどうかを手術記録・術式名で確認
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Le Fort I型切離かを確認 — 記録上、Le Fort I型切離による移動と記載されているかを確認
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複数分割の実施を確認 — 上顎骨を複数に分割して移動させた記録になっているか、単一切離のまま移動させただけでないかを確認
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区分の取り違えがないか確認 — 区分2(複雑な場合及び2次的再建の場合)・区分3(骨移動を伴う場合)と混同していないか、術式区分を再確認
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注1と注2を区別して確認 — 5,000点加算(注1・区分1対象)と、算定条件の限定(注2・区分3対象)を混同していないか確認
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他の上乗せ加算の有無を確認 — 創外固定器を使用した場合など、創外固定器加算のような別の加算が該当しないかも合わせて確認
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レセプト記載・審査を確認 — 最終的な算定内容は、自院のレセプト担当者・審査支払機関の判断で確認

みらい(新人医療事務)
一つひとつの区分と手術記録を丁寧に見ていく必要があるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。手術系の加算は特に、名前だけで判断せず、条文の区分番号と手術記録の内容まで戻って確認することが大切です。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でよくある見落としのパターンってありますか?
よくある取り漏れポイント
- 区分1(単純な場合)で上顎骨を複数に分割したのに、5,000点加算の記載自体を失念しているケース
- 区分2・区分3の手術記録と区分1を取り違え、対象外の区分にこの加算を誤って記載しようとするケース
- 注1(5,000点加算)と注2(区分3の算定条件限定)の内容を混同してしまうケース
- 創外固定器を使用した場合の創外固定器加算との違いを整理できていないケース
- レセプト記載時に、単一切離での移動か複数分割かの区別が手術記録上あいまいなケース
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか疑問をぶつけてもいいですか?区分2(複雑な場合及び2次的再建の場合)にもこの5,000点加算は付くんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、付きません。5,000点加算(注1)の対象は区分1(単純な場合)に限定されています。区分2・区分3には、この5,000点加算は適用されません。
みらい(新人医療事務)
区分3(骨移動を伴う場合)はどんな条件で算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
区分3には注2があり、「先天奇形に対して行われた場合に限り算定する。」と条文に明記されています。これは5,000点加算のルールとは別の、区分3そのものの算定条件です。区分3を実施した場合は、先天奇形に対する手術かどうかを個別に確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
歯科でも同じ扱いになりますか?
あおい(元・医療事務)
今回整理したのは医科点数表における上顎骨複数分割加算です。歯科診療における上顎骨形成術の取扱いについては、医科とは別の整理がなされている場合がありますので、歯科での算定を検討する場合は歯科点数表・関連通知を個別に確認してください。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省の公式資料を根拠としています。詳細な条文・最新の告示内容は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号・K443上顎骨形成術の点数区分) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 令和8年度診療報酬改定について(厚生労働省特設ページ) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。手術の実施内容や区分を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。