みらい(新人医療事務)
先輩、「処理骨再建加算」ってレセプトで見かけたんですけど、聞き慣れない名前で……。これって何の加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
骨軟部悪性腫瘍の手術に関する加算ですね。具体的には、K031四肢・躯幹軟部悪性腫瘍手術の「注」に規定されている加算で、令和8年度(2026年度)の点数表では15,000点が設定されています。腫瘍を取り除いたあと、患者さん自身の骨(自家骨)を処理して再建に使った場合に、所定点数へ上乗せする仕組みです。
みらい(新人医療事務)
「自家処理骨」ってどういう意味なんですか?よその方の骨を使うわけじゃないんですよね?
あおい(元・医療事務)
そうです。患者さん自身から摘出した腫瘍の骨(自家腫瘍骨)を、殺細胞処理という方法で無菌化・無腫瘍化してから、再びその方の再建に使うという技術です。他家骨(他人の骨)やインプラントとは異なる、患者さん自身の組織を活かす再建方法ですね。まずは対象になる医療機関や場面から確認していきましょう。
処理骨再建加算の対象になる医療機関・場面
みらい(新人医療事務)
この加算、うちのクリニックでも算定候補になったりしますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、当サイトの整理では処理骨再建加算は病院・入院での手術が対象で、診療所や外来では対象になりません。K031四肢・躯幹軟部悪性腫瘍手術自体が、骨の切除を伴う大きな手術のため、入院での実施が前提になります。
みらい(新人医療事務)
なるほど、外来ではそもそも想定されていないんですね。具体的にはどんな手術のときに関係してくるんですか?
あおい(元・医療事務)
骨軟部悪性腫瘍手術のうち、腫瘍を広範囲に切除する必要があるケースです。厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)では、K031は肩・上腕・前腕・大腿・下腿・躯幹・手・足という部位ごとに区分されていて、その「注」として処理骨再建加算が定められています。
みらい(新人医療事務)
部位によって扱いが変わるということですか?
あおい(元・医療事務)
はい。まずは基本点数と加算の点数を表で見てみましょう。
点数を確認する(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数って部位ごとに違うんですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。K031は8区分に分かれていて、部位によって基本点数が異なります。加算自体は一律15,000点です。
| 区分 | 手術名 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 1 | 肩軟部悪性腫瘍手術 | 27,740点 |
| 2 | 上腕軟部悪性腫瘍手術 | 27,740点 |
| 3 | 前腕軟部悪性腫瘍手術 | 27,740点 |
| 4 | 大腿軟部悪性腫瘍手術 | 27,740点 |
| 5 | 下腿軟部悪性腫瘍手術 | 27,740点 |
| 6 | 躯幹軟部悪性腫瘍手術 | 27,740点 |
| 7 | 手軟部悪性腫瘍手術 | 14,800点 |
| 8 | 足軟部悪性腫瘍手術 | 14,800点 |
| 注加算 | 処理骨再建加算 | +15,000点 |

みらい(新人医療事務)
手と足だけ点数が低いんですね。加算の15,000点は共通なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、加算部分はどの区分でも共通で15,000点です。厚生労働省の告示では「自家処理骨を用いた再建を行った場合は、処理骨再建加算として、15,000点を所定点数に加算する」と定められています。区分ごとの基本点数に、この15,000点が上乗せされる形ですね。
みらい(新人医療事務)
逆に言うと、自家処理骨を使わない再建方法だったら、この加算は算定候補にならないということですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。人工骨やほかの再建方法を使った場合は、この加算の対象にはなりません。次は、算定候補になるための具体的な要件を見ていきましょう。
算定の要件を確認する
みらい(新人医療事務)
「自家処理骨を使えば、それだけで算定候補になる」というわけではないんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい、そこは慎重に確認したいところです。留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)には、処理骨再建加算について3つの条件が示されています。1つずつ見ていきましょう。
要件1: 広範切除と自家腫瘍骨の処理
留意事項通知では「骨の切除を必要とする骨軟部悪性腫瘍手術において、腫瘍の広範切除後に、切除した自家腫瘍骨を殺細胞処理し再建に用いた場合に、所定点数に加算する」とされています。単に骨を切除しただけでなく、その骨を処理して再建に使うところまでが条件です。
みらい(新人医療事務)
「殺細胞処理」って具体的にどんな処理なんですか?
あおい(元・医療事務)
通知の本文には処理の具体的な手法までは記載がなく、「日本整形外科学会から示された指針を遵守すること」という形で、学会の指針への準拠が求められています。
要件2: 学会指針の遵守
「当該手術の実施及び処理骨の作製に当たっては、日本整形外科学会から示された指針を遵守すること」と留意事項通知に明記されています。処理方法の妥当性は、学会が示す指針が基準になります。
みらい(新人医療事務)
指針を守っていることは、どうやって確認したらいいんですか?
あおい(元・医療事務)
日本整形外科学会が公表している指針の内容と、実際に行った処理・記録を照らし合わせて確認することになります。院内での確認だけで判断が難しい場合は、学会や地方厚生局への確認も選択肢です。
みらい(新人医療事務)
もう1つの要件は何ですか?
あおい(元・医療事務)
手術を担当する医師についての要件です。
要件3: 医師の経験要件
留意事項通知には「処理骨再建加算は、骨軟部悪性腫瘍手術に関する専門の知識及び5年以上の経験を有する医師により行われた場合に算定する」とあります。専門知識に加えて、5年以上の経験という具体的な年数が条件になっている点に注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
5年未満の医師が執刀した場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
通知の文言どおりに読むと、その場合は算定候補として整理しづらくなります。ただし経験年数の数え方やチーム体制での扱いなど、個別の状況によって判断が分かれる可能性があるので、最終的には自院の記録と公式資料、審査支払機関への確認が必要です。
届出は必要か
みらい(新人医療事務)
この加算、施設基準の届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトの整理では、処理骨再建加算について施設基準の届出は求められていません。留意事項通知で示されているのは、広範切除・自家処理骨の使用・学会指針の遵守・医師の経験年数という算定要件であり、あらかじめ地方厚生局へ提出する届出様式は確認できていません。
届出不要=無条件ではない
届出が不要とされていても、算定要件そのものが免除されるわけではありません。医師の経験年数や処理方法の指針遵守は、レセプトを提出するたびに満たしている必要があります。院内記録として、執刀医の経験年数や処理方法の根拠を残しておくことをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
なるほど、届出が要らないからといって気を抜けないんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。次は算定するタイミングや注意点を確認しましょう。
算定のタイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
この加算は、いつのタイミングで算定するんですか?
あおい(元・医療事務)
K031四肢・躯幹軟部悪性腫瘍手術を実施し、その中で自家処理骨を用いた再建を行った回に、手術の所定点数と合わせて算定候補になります。加算だけを単独で算定することはできません。
みらい(新人医療事務)
同じ患者さんで何度も算定できるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収載している一次資料の範囲では、処理骨再建加算そのものに明示的な回数制限の記載は確認できていません。ただし手術自体の実施回数や術式の妥当性は診療内容によって変わるため、複数回の算定を検討する場合は、その都度、広範切除・自家処理骨の使用・学会指針の遵守という3要件を満たしているかを確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
ほかに気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
部位によって基本点数(K031の1〜8)が異なるため、どの区分で手術を行ったかをレセプト上で正確に対応させることが大切です。加算の点数だけを見て区分を混同しないよう、部位と手術内容を照らし合わせて確認してください。
自家処理骨を用いない再建は対象外
人工骨やその他の材料を用いた再建、あるいは自家骨でも殺細胞処理を行っていない再建は、処理骨再建加算の対象外の可能性があります。再建方法が加算の定義に当てはまるかどうかを、術式記録の段階で確認しておくと安心です。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは正直にお伝えする必要があります。当サイトが収載している一次資料(令和8年度の告示・留意事項通知)の範囲では、処理骨再建加算について前回改定(令和6年度)との比較資料を確認できておらず、変更の有無は確認されていません(確認日: 2026年7月)。
みらい(新人医療事務)
確認できていないというのは、正直な言い方ですね。
あおい(元・医療事務)
曖昧な情報で「変わっていません」と断定するより、確認できている範囲を正確にお伝えするほうが誠実だと考えています。令和8年度時点の点数・要件については、この記事で紹介した内容が現行の一次資料に基づく整理です。過去の点数や要件との異同が気になる場合は、地方厚生局や厚生労働省の公式資料で個別にご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの病院で処理骨再建加算が算定候補になるか、どう確認していけばいいんでしょう?
あおい(元・医療事務)
確認する順番は、次の6つのステップで見ていくとわかりやすいです。
自院で確認する順番
- 骨軟部悪性腫瘍手術で、骨の切除を伴う広範切除を実施したか確認する
- 切除した自家腫瘍骨を殺細胞処理し、再建に用いたか確認する
- 処理・再建の実施が、日本整形外科学会の指針に沿っているか確認する
- 執刀医が骨軟部悪性腫瘍手術の専門知識と5年以上の経験を有しているか確認する
- K031のどの区分(部位)に該当する手術かを確認し、対応する基本点数を確認する
- 上記をすべて満たしていれば算定候補として整理し、最終判断は自院の記録と公式資料で確認する

みらい(新人医療事務)
この順番で見ていけば、抜け漏れが防げそうですね。
あおい(元・医療事務)
はい。特に4番目の医師要件は、レセプトの点数や施設基準の一覧だけでは見えにくい部分なので、見落とされやすいポイントです。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな見落としって、どんなパターンがあるんですか?
取り漏れの例1: 医師の経験年数の確認不足
執刀医が骨軟部悪性腫瘍手術の専門知識を持っていても、経験年数が要件(5年以上)を満たしているかを個別に確認していないケースがあります。チームで手術を行う場合、誰が「執刀医」として要件を満たす立場かをあらかじめ整理しておくと確認しやすくなります。
取り漏れの例2: 再建方法の記録不備
自家処理骨を用いた再建であっても、殺細胞処理の方法や学会指針への準拠が診療記録に明記されていないと、後から要件充足を説明しづらくなります。手術記録の段階で、処理方法と指針との対応関係を残しておくことが大切です。
みらい(新人医療事務)
記録の残し方まで意識しておくといいんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。加算の点数だけでなく、要件を満たしていることを説明できる記録があるかどうかも、あわせて確認しておくと安心です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
Q.処理骨再建加算は、K031以外の手術でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
A.当サイトが収載している一次資料の範囲では、処理骨再建加算はK031四肢・躯幹軟部悪性腫瘍手術の「注」として規定されています。ほかの手術での取り扱いは、この記事の裏付け資料の範囲では確認できていません。
みらい(新人医療事務)
Q.診療所でこの加算が算定候補になることはありますか?
あおい(元・医療事務)
A.当サイトの整理では、処理骨再建加算は病院・入院での実施が対象で、診療所や外来は対象に含まれていません。
みらい(新人医療事務)
Q.人工骨を使った再建でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
A.いいえ。処理骨再建加算は自家処理骨(患者さん自身の腫瘍骨を殺細胞処理したもの)を用いた再建が条件です。人工骨を用いた再建は、この加算の対象外の可能性があります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。