みらい(新人医療事務)
「脳血栓回収療法連携加算」っていう名前を初めて見たんですけど、これってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の医科点数表に載っている手術の注加算です。脳梗塞の患者さんを診た病院が、経皮的脳血栓回収術という血管内治療ができる別の病院に相談して、そちらへ患者さんを搬送してもらい、実際に治療を行った場合に、治療を行った側の病院に5,000点が加算される仕組みです。
みらい(新人医療事務)
「相談して搬送してもらう」んですか? 患者さんを診た病院が加算をもらえるわけじゃないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。ここは取り違えやすいポイントです。点数がつくのは「経皮的脳血栓回収術を実際に実施した側」の病院です。厚生労働省の告示ではこう定義されています。「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、当該保険医療機関との連携体制の確保により区分番号A205-2に掲げる超急性期脳卒中加算の届出を行っている他の保険医療機関の救急患者について、経皮的脳血栓回収術の適応判定について助言を行った上で、当該他の保険医療機関から搬送された当該患者に対して、経皮的脳血栓回収術を実施した場合は、脳血栓回収療法連携加算として、5,000点を所定点数に加算する。ただし、脳血栓回収療法連携加算を算定する場合は、区分番号A205-2に掲げる超急性期脳卒中加算は算定できない。」
みらい(新人医療事務)
なるほど、条文そのままだとちょっと難しいですね……。整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
順番に見ていきましょう。まず登場するのは2つの医療機関です。1つは「経皮的脳血栓回収術(K178-4)の施設基準に適合し、届出をしている病院」。もう1つは「超急性期脳卒中加算(区分番号A205-2)の届出をしている、別の救急病院」です。
対象になる医療機関・患者は
みらい(新人医療事務)
診療所やクリニックでも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、この加算は病院の入院での手術に付く加算で、外来や在宅では算定の対象になりません。当サイトが収録している一次資料の範囲では、対象は病院・入院に限られています。診療所については対象外の可能性が高いですが、最終的には自院の届出区分で確認してください。
みらい(新人医療事務)
「他の保険医療機関の救急患者」って、具体的にはどんな流れなんですか?
あおい(元・医療事務)
イメージとしては、地域の救急病院(超急性期脳卒中加算を届け出ている病院)に脳梗塞が疑われる患者さんが搬送されてきます。その病院自身は経皮的脳血栓回収術の体制がない、または実施が難しい場合に、体制が整っている連携先の病院に「この患者さんは血栓回収の適応があるか」を相談します。相談を受けた病院が適応ありと助言し、実際に患者さんがその病院へ搬送されて経皮的脳血栓回収術を受けた場合に、受け入れた病院側で脳血栓回収療法連携加算の算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
助言だけして、搬送されなかった場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の文言を見る限り、「助言を行った上で」「当該他の保険医療機関から搬送された当該患者に対して、経皮的脳血栓回収術を実施した場合」とセットで書かれています。つまり、助言だけで搬送・実施に至らなかったケースまでこの加算の対象になるとは、当サイトが確認している一次資料からは読み取れません。実施の有無は自院のレセプト担当・診療録で必ず確認してください。
点数はいくらですか
みらい(新人医療事務)
5,000点というのは、経皮的脳血栓回収術そのものの点数とは別なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、別です。経皮的脳血栓回収術(K178-4)自体の所定点数に、注加算として5,000点が上乗せされる形です。経皮的脳血栓回収術には術式によって2つの区分があるので、まとめておきますね。
| 項目 | 点数(令和8年度) | 備考 |
|---|---|---|
| K178-4「1」頸動脈ステント留置を併施するもの | 47,150点 | 経皮的脳血栓回収術の所定点数 |
| K178-4「2」その他のもの | 33,150点 | 経皮的脳血栓回収術の所定点数 |
| 脳血栓回収療法連携加算(注) | +5,000点 | 上記の所定点数に加算する注加算 |

みらい(新人医療事務)
この図を見ると、点数がつくのはあくまで「実施した病院」の所定点数に上乗せする形なんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。連携先へ相談しただけの病院に別途点数がつく規定は、当サイトが確認している一次資料の範囲では見当たりません。搬送元の病院側の評価については、自院の算定担当や審査支払機関に確認するのが確実です。
施設基準・届出はどうなっていますか
みらい(新人医療事務)
施設基準と届出、両方必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。告示の冒頭に「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において」とあるとおり、経皮的脳血栓回収術の施設基準に適合したうえで、地方厚生局への届出が必要です。当サイトの整理でも、この加算は届出必要・施設基準ありという扱いにしています。
みらい(新人医療事務)
届出の様式はどこかに載っていますか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省が公開している施設基準に係る届出書等の様式一覧に、脳血栓回収療法連携加算が個別の届出項目として掲載されています。様式番号は「87の56」として整理されており、経皮的脳血栓回収術とは別に、この加算専用の届出欄が設けられています。
施設基準の詳細は自院で個別確認を
今回の一次資料からは「施設基準に適合し届け出た保険医療機関」という枠組みと、届出様式が存在することまでは確認できます。ただし、人員配置や実績件数など施設基準の詳細な充足条件は、本記事の一次資料からは確認できていません。届出の可否は地方厚生局への確認、または院内の施設基準担当者との相談が必要です。
みらい(新人医療事務)
連携する側の病院、つまり超急性期脳卒中加算を届け出ている救急病院側にも、何か手続きが必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
告示上、この加算の算定要件として明記されているのは「他の保険医療機関が超急性期脳卒中加算の届出を行っていること」です。参考までに、超急性期脳卒中加算そのものは、留意事項通知でこんな形で定義されています。「超急性期脳卒中加算は脳梗塞と診断された患者であって、発症後4.5時間以内に組織プラスミノーゲン活性化因子を投与されたものに対して、入院治療を行った場合又は脳梗塞を発症後4.5時間以内に基本診療料の施設基準等第八の六の三に定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た他の保険医療機関の外来で組織プラスミノーゲン活性化因子を投与された患者を受け入れ、入院治療を行った場合に入院初日に限り所定点数に加算する。」
あおい(元・医療事務)
つまり、搬送元の病院が超急性期脳卒中加算を届け出ているかどうかが、脳血栓回収療法連携加算の算定候補になるかを左右します。この点は超急性期脳卒中加算のページも合わせて確認しておくと整理しやすいと思います。
算定のタイミング・注意点(併算定除外)
みらい(新人医療事務)
併算定できない加算があるって、さっきの条文にありましたよね?
あおい(元・医療事務)
はい。「脳血栓回収療法連携加算を算定する場合は、区分番号A205-2に掲げる超急性期脳卒中加算は算定できない」と明記されています。これは実施した側の病院において、同じ患者・同じ入院で両方を算定することはできない、という併算定除外の規定です。
併算定除外の対象を取り違えない
併算定できないのは「超急性期脳卒中加算」であって、経皮的脳血栓回収術そのものではありません。脳血栓回収療法連携加算はあくまで経皮的脳血栓回収術(K178-4)に付く注加算なので、経皮的脳血栓回収術の所定点数と合わせて算定する前提になっています。混同しないよう、レセプト入力時は加算の対象がどちらの区分番号かを条文で確認してください。
みらい(新人医療事務)
搬送元と搬送先で、費用のやり取りみたいなものはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、この点についても触れられています。「『注』に規定する脳血栓回収療法連携加算を算定する場合においては、手術を実施する保険医療機関と連携する他の保険医療機関の間で合議の上、当該連携に必要な費用の精算を行うものとする。」
あおい(元・医療事務)
実施した病院が保険請求で5,000点を算定したうえで、連携にかかった費用については両病院の合議で精算する、という整理です。院内の事務処理としては、連携先とのやり取りのルールを事前に決めておくと安心です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前の改定と比べて、何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが収録している一次資料の範囲では、令和6年度(2024年度)時点のこの加算に関する記載を確認できておらず、前回改定からの変更点は確認されていません。新設なのか、点数や要件が変わったのかを含めて、今回の記事では判断材料が揃っていません。
みらい(新人医療事務)
そういうときは、どう考えればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
「変更がなかった」と決めつけるのではなく、「今回確認した範囲では変更点を特定できていない」と受け止めてください。改定前後の詳しい経緯を知りたい場合は、厚生労働省が公開している改定関連の一次資料を直接確認することをおすすめします。当サイトの記載は令和8年度時点の内容として読んでください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
うちの病院で算定候補になるか、何から確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
確認する順番をまとめると、こんな流れになります。
自院で確認する順番
- 自院が経皮的脳血栓回収術(K178-4)の施設基準に適合し、地方厚生局に届出済みかを確認する
- 他の保険医療機関からの相談を受けて、適応判定の助言を行う体制があるかを確認する
- 搬送元の医療機関が超急性期脳卒中加算(A205-2)の届出を行っているかを確認する
- 実際に搬送された患者に対して経皮的脳血栓回収術を実施したという診療録上の記録があるかを確認する
- 同一患者・同一入院で超急性期脳卒中加算を重ねて算定していないかをレセプト入力前に確認する

みらい(新人医療事務)
1つでも欠けていたら、算定候補にはならないってことですか?
あおい(元・医療事務)
そこまで断定はできませんが、告示の要件は「施設基準の届出」「助言」「搬送」「実施」がセットで書かれているので、どれか1つが欠けている場合は算定候補になるか確認が必要な状態と考えたほうが安全です。迷ったときは、院内の施設基準担当者やレセプト担当と一緒に条文を見比べてみてください。
よくある取り漏れ・誤解
みらい(新人医療事務)
現場でよくある勘違いって、どんなものがありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか整理しますね。
よくある取り漏れ・誤解
搬送元の病院が算定すると誤解する: 5,000点が加算されるのは経皮的脳血栓回収術を実施した側の病院です。相談を受けて助言しただけの病院、あるいは患者を送り出した側の病院が算定するものではありません。 併算定除外の対象を取り違える: 併算定できないのは超急性期脳卒中加算であり、経皮的脳血栓回収術本体の点数とは別です。 施設基準を自己判断してしまう: 「うちも似たような治療をしているから大丈夫」といった自己判断は避け、届出済みかどうかを施設基準台帳や届出書控えで確認してください。
みらい(新人医療事務)
逆に、算定候補にならなさそうなケースって、どんな場合ですか?
あおい(元・医療事務)
たとえば、経皮的脳血栓回収術は実施したけれど、それが自院で最初から受け入れた救急患者で、他院からの搬送や事前の適応判定の助言というプロセスがなかった場合です。この場合は連携加算の要件である「他の保険医療機関からの搬送」に当たらない可能性があるため、対象外の可能性を含めて確認が必要です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
診療所でこの加算を算定できますか?
あおい(元・医療事務)
診療所は対象外の可能性が高いです。この加算は病院の入院での手術に付く注加算として整理されているため、外来や在宅での算定は想定されていません。最終的には自院の届出区分でご確認ください。
みらい(新人医療事務)
経皮的脳血栓回収術を実施すれば、自動的にこの加算も算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、自動的にではありません。経皮的脳血栓回収術を実施しただけでなく、「他の保険医療機関からの相談・適応判定の助言」「その病院からの搬送」という連携のプロセスがあったことが要件です。単独で受け入れた救急患者への実施だけでは、連携加算の要件を満たすかどうか確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
超急性期脳卒中加算とはどちらも算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
脳血栓回収療法連携加算を算定する場合、同じ患者について超急性期脳卒中加算は算定できないと告示に明記されています。どちらを算定するかは、実際の診療の流れと自院の届出状況に応じて確認してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や連携体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。