みらい(新人医療事務)
あおいさん、「臓器移植実施体制確保加算」って名前を初めて聞いたんですけど、これってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の手術料の加算区分の一つですよ。臓器移植に関連する特定の手術を、臓器提供施設や臓器あっせん機関等と連携して行った場合に、その手術の点数に上乗せされる加算です。
みらい(新人医療事務)
「臓器あっせん機関」って、レセプトではあまり見かけない言葉ですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。厚生労働省の告示には、次のように定められています。「区分番号K514-3、K514-4、K605からK605-4まで、K697-6、K697-7、K709-2からK709-6まで、K716-5、K716-6、K779-2及びK780に掲げる手術について、臓器提供施設及び臓器あっせん機関等と連携して、当該手術を行った場合は、臓器移植実施体制確保加算として、それぞれ当該手術の所定点数の100分の400に相当する点数を加算する」と定められています。
みらい(新人医療事務)
なるほど、まずはこの条文をそのまま押さえておけばいいんですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。この記事では、対象になる手術・点数のイメージ・施設基準の考え方・自院で確認する順番の順に整理していきますね。
対象になる手術と医療機関
みらい(新人医療事務)
K514とかK780とか、コードが並んでいてちょっと圧倒されます…。具体的にはどんな手術なんですか?
あおい(元・医療事務)
全部、臓器提供者から臓器を採取する手術と、それを移植する手術のセットになっています。表にすると、こんな組み合わせです。
| 臓器 | 採取術 | 移植術 |
|---|---|---|
| 肺 | K514-3 移植用肺採取術(死体)(両側) | K514-4 同種死体肺移植術 |
| 心臓 | K605 移植用心採取術 | K605-2 同種心移植術 |
| 心肺 | K605-3 移植用心肺採取術 | K605-4 同種心肺移植術 |
| 肝臓 | K697-6 移植用肝採取術(死体) | K697-7 同種死体肝移植術 |
| 膵臓 | K709-2 移植用膵採取術(死体) | K709-3 同種死体膵移植術 |
| 膵腎 | K709-4 移植用膵腎採取術(死体) | K709-5 同種死体膵腎移植術 |
| 膵島 | ー | K709-6 同種死体膵島移植術 |
| 小腸 | K716-5 移植用小腸採取術(死体) | K716-6 同種死体小腸移植術 |
| 腎臓 | K779-2 移植用腎採取術(死体) | K780 同種死体腎移植術 |
みらい(新人医療事務)
「死体」「同種死体」という言葉が多いですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。いずれも死体(脳死した者の身体からの提供を含む)からの臓器提供に関わる手術という共通点があります。当サイトが収集している資料の範囲では、算定区分上は診療所・病院どちらも対象になり得ます。ただ、これだけ高度な移植手術を実際に行える医療機関はごく限られますので、まず自院がこの一覧の手術を実施しているかどうかが最初の確認ポイントになります。

点数のイメージ
みらい(新人医療事務)
「所定点数の100分の400」ってどれくらいの点数になるんですか?
あおい(元・医療事務)
100分の400というのは4.00倍という意味なので、対象手術の点数と同じ額の4倍が上乗せされる計算です。かなり大きな加算ですよ。
| 対象手術(一部・令和8年度) | 所定点数 | 加算額の目安(所定点数×4.00) |
|---|---|---|
| K780 同種死体腎移植術 | 98,770点 | 395,080点 |
| K514-4 同種死体肺移植術 | 139,230点 | 556,920点 |
| K697-7 同種死体肝移植術 | 193,060点 | 772,240点 |
| K605-4 同種心肺移植術 | 286,010点 | 1,144,040点 |
みらい(新人医療事務)
数字が大きすぎて、逆に実感が湧かないです…。
あおい(元・医療事務)
あくまで目安の機械計算ですからね。実際の請求点数は、組織適合性試験の費用(所定点数に含まれる扱い)や、抗HLA抗体検査を行った場合の加算(4,000点)など、他の加算の有無によっても変わります。一例として整理の参考にしてください。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
こんなに大きい加算なら、施設基準の届出とか厳しそうですね。
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している資料の範囲では、この加算自体に地方厚生局長等への個別の届出は定められていません。条文が求めているのは「対象手術を、臓器提供施設及び臓器あっせん機関等と連携して行ったかどうか」という実施の事実です。
みらい(新人医療事務)
じゃあ届出なしでも大丈夫ってことですか?
あおい(元・医療事務)
「届出が不要=何もしなくていい」ではありませんよ。対象となる移植手術そのものが、K区分の施設基準や移植医療の実施体制など、別の要件と結びついていることが一般的です。この加算単体の届出有無だけで判断せず、対象手術の算定要件全体を自院で確認することが必要です。
断定できない点
臓器移植実施体制確保加算は届出不要とされていますが、対象手術自体の実施可否・施設基準は別に確認が必要です。「届出がないから誰でも算定候補」と早合点しないようにしましょう。
算定タイミングと注意点
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
この加算は独立した診療行為ではなく、対象手術を算定した際に一緒に算定する「加算」という位置づけです。まず対象手術自体の点数が正しく算定できているかを確認してから、加算の条件(臓器提供施設・臓器あっせん機関等との連携)に当てはまるかを見ていく順番になります。
みらい(新人医療事務)
同じ手術で似たような加算が他にもあるって聞いたことがあるんですが…
みらい(新人医療事務)
名前が似ていると、どっちの話をしているのか分からなくなりそうです。
あおい(元・医療事務)
その通りです。条文の主語(どの区分・どの加算の話か)を必ず確認してから進めるようにしてくださいね。
よくある取り違え
「臓器移植実施体制確保加算」と「移植臓器提供加算」は名称が似ていますが条件が異なります。前者は臓器提供施設・臓器あっせん機関等との連携が条件、後者は脳死した者以外の死体からの臓器提供が条件です。どちらの加算を算定候補として検討しているのか、条文を確認してから進めましょう。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
この加算、前の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)からの変更点については、当サイトが収集している令和8年度の一次資料の範囲では、対象手術の一覧・加算率(100分の400)ともに変更を示す記述は確認されていません。ここは確認できた範囲としてお伝えしておきますね。
改定差分の確認状況
臓器移植実施体制確保加算について、当サイトが収集している一次資料の範囲では、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(対象手術の一覧・加算率のいずれも)。今後の一次資料の更新で変更が確認され次第、この記事も更新します。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、自院で何から確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
順番に並べると分かりやすいですよ。

自院で確認する順番
- 自院で行っている手術が、K514-3・K514-4・K605からK605-4・K697-6・K697-7・K709-2からK709-6・K716-5・K716-6・K779-2・K780のいずれかに該当するか確認する
- その手術を、臓器提供施設及び臓器あっせん機関等と連携して行ったかどうかを確認する
- 対象手術本体の算定要件(施設基準・記録・組織適合性試験や抗HLA抗体検査加算の扱いなど)を満たしているかを確認する
- ここまで確認できたら、レセプト担当者・地方厚生局・審査支払機関等に最終確認する
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか聞いてもいいですか?外来でも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している資料の範囲では、外来・入院どちらも算定区分の対象にはなっています。ただ、対象手術自体が非常に高度な移植手術ですので、実務上は入院・手術を伴う医療機関が中心になると考えられます。自院の実施体制と合わせて確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
生体移植は対象に含まれますか?
あおい(元・医療事務)
条文に列挙されている手術名を見る限り、「死体」「同種死体」という言葉がついた手術が中心です。生体からの移植手術がこの加算の対象に含まれるかどうかは、この条文の範囲では確認できていません。気になる場合は個別に確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
クリニックでも算定候補になり得ますか?
あおい(元・医療事務)
算定区分上は診療所も対象になっていますが、実際にこれらの移植手術を実施するのは、移植医療の体制が整った病院がほとんどだと考えられます。自院で本当に対象手術を行っているかどうかが最初の分かれ目です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。