みらい(新人医療事務)
先生、心臓カテーテル検査のレセプトに「卵円孔加算」って書いてあるんですけど、これってどんな加算ですか。似たような名前で「卵円孔開存閉鎖術」っていう手術もあると聞いたことがあって、混同しそうで心配です。
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。実はその二つ、名前は似ていますが全くの別物です。今日ご相談の「卵円孔加算」は、正式には「卵円孔・欠損孔加算」という、心臓カテーテル検査の中で行う手技に対する加算です。一方の「経皮的卵円孔開存閉鎖術」は、卵円孔そのものを閉じる手術で、点数も算定の位置づけも異なります。令和8年度(2026年度)の一次資料をもとに、まずはこの違いから整理していきましょう。
みらい(新人医療事務)
よろしくお願いします。まず、この加算がどういう位置づけなのか知りたいです。
卵円孔・欠損孔加算とは
みらい(新人医療事務)
そもそも、心臓カテーテル検査の「加算」ってどんな仕組みなんですか。
あおい(元・医療事務)
D206「心臓カテーテル法による諸検査」という区分があって、右心カテーテルと左心カテーテルの基本点数が決まっています。その注2に、検査の中で追加の手技を行った場合の加算がまとめて規定されていて、そのうちの一つが卵円孔・欠損孔加算です。当サイトが収集している一次資料(厚生労働省 令和8年度点数表 D206)には、「当該検査に当たって、卵円孔又は欠損孔を通しての左心カテーテル検査、経中隔左心カテーテル検査(ブロッケンブロー)、伝導機能検査、ヒス束心電図、診断ペーシング、期外(早期)刺激法による測定・誘発試験、冠攣縮誘発薬物負荷試験、冠動脈造影又はガイドワイヤを用いた冠微小循環の評価を行った場合は、卵円孔・欠損孔加算、ブロッケンブロー加算、伝導機能検査加算、ヒス束心電図加算、診断ペーシング加算、期外刺激法加算、冠攣縮誘発薬物負荷試験加算、冠動脈造影加算又は冠微小循環評価加算として、それぞれ800点、2,000点、400点、400点、400点、800点、800点、1,400点又は150点を加算する」と記載されています。
あおい(元・医療事務)
つまり「心臓カテーテル検査(右心または左心)を行う際に、卵円孔または欠損孔を通して左心カテーテル検査を実施した場合」に、所定点数へ800点を加算する、という規定です。
みらい(新人医療事務)
さっきおっしゃっていた「経皮的卵円孔開存閉鎖術」との違いは、具体的にどこにあるんですか。
あおい(元・医療事務)
一次資料上でも別の区分として整理されています。経皮的卵円孔開存閉鎖術は「K574-3」という手術の区分で、一次資料には「K574-3 経皮的卵円孔開存閉鎖術 31,850点 注 手術に伴う画像診断及び検査の費用は算定しない」と記載されています。まったく違う体系ですね。こちらは卵円孔そのものを塞ぐ手術そのものの点数で、手術に伴う画像診断・検査の費用は別に算定しません。今日お話しする卵円孔・欠損孔加算は、あくまで「心臓カテーテル検査(D206)」という検査の中で、卵円孔または欠損孔を通した左心カテーテル検査という手技を行った場合の検査加算です。名前が似ているだけに、レセプトを見るときはどちらの区分の話をしているのか、まず確認するようにしてください。
名称が似ている二つの区分を区別する
「卵円孔・欠損孔加算」はD206心臓カテーテル法の注2加算(検査加算・800点)です。「経皮的卵円孔開存閉鎖術」(K574-3・31,850点)は卵円孔を閉じる手術そのものの点数で、区分が異なります。レセプトや記事を読むときは、検査加算の話か手術の話かをまず確認しましょう。
みらい(新人医療事務)
なるほど、検査の中の加算なんですね。次は、どんな医療機関や患者さんが対象になるのか知りたいです。
対象となる医療機関・患者・場面
あおい(元・医療事務)
一次資料を見る限り、D206の心臓カテーテル法自体に、実施できる医療機関の種別(診療所・病院)や外来・入院の別を限定する記載は見当たりません。卵円孔・欠損孔加算もD206の注2加算である以上、その検査を実際に行った医療機関であれば算定候補になり得ます。ただし、心臓カテーテル法は在宅療養の場面で行う検査ではないため、在宅は対象外の可能性があります。
みらい(新人医療事務)
患者さん側の条件はあるんですか。年齢とか、疾患名とか。
あおい(元・医療事務)
一次資料の算定要件を見る限り、患者の年齢や疾患名を限定する記載は見当たりません。基準になるのは「その検査に当たって、卵円孔又は欠損孔を通しての左心カテーテル検査を実際に行ったかどうか」です。逆に言うと、卵円孔や欠損孔があることが分かっていても、実際にそこを通した左心カテーテル検査を行わなかった場合は、この加算の対象にはなりません。
対象になりやすいケースの整理
D206の心臓カテーテル法(右心カテーテルまたは左心カテーテル)を実施し、その検査の中で卵円孔又は欠損孔を通しての左心カテーテル検査を行った場合が対象です。卵円孔や心房中隔欠損の有無そのものではなく、実際に行った検査手技で判断します。
みらい(新人医療事務)
実際に何をしたかで見るんですね。次は点数のところを詳しく教えてください。
点数の整理(令和8年度)
あおい(元・医療事務)
まずD206の基本点数から確認しましょう。厚生労働省の令和8年度点数表では、「D206 心臓カテーテル法による諸検査(一連の検査について) 1 右心カテーテル 3,600点 2 左心カテーテル 4,000点」と規定されています。
| 区分 | 内容 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| D206 1 | 右心カテーテル | 3,600点 |
| D206 2 | 左心カテーテル | 4,000点 |
あおい(元・医療事務)
この基本点数に対して、注2でいくつもの加算が用意されています。卵円孔・欠損孔加算はその一つで、他の注2加算とあわせて表にまとめました。
| 注2加算の名称 | 内容(行った手技) | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 卵円孔・欠損孔加算 | 卵円孔又は欠損孔を通しての左心カテーテル検査 | 800点 |
| ブロッケンブロー加算 | 経中隔左心カテーテル検査(ブロッケンブロー) | 2,000点 |
| 伝導機能検査加算 | 伝導機能検査 | 400点 |
| ヒス束心電図加算 | ヒス束心電図 | 400点 |
| 診断ペーシング加算 | 診断ペーシング | 400点 |
| 期外刺激法加算 | 期外(早期)刺激法による測定・誘発試験 | 800点 |
| 冠攣縮誘発薬物負荷試験加算 | 冠攣縮誘発薬物負荷試験 | 800点 |
| 冠動脈造影加算 | 冠動脈造影 | 1,400点 |
| 冠微小循環評価加算 | ガイドワイヤを用いた冠微小循環の評価 | 150点 |

みらい(新人医療事務)
同じ検査の中で、他の注2加算と一緒に算定されることもあるんですか。
あおい(元・医療事務)
一次資料の書き方を見ると、注2の各加算は「行った手技ごと」にそれぞれ規定されているので、同じ検査の中で複数の手技を実施していれば、実施した手技の分だけ加算候補が並ぶ構造です。ただし、それぞれ実際に行ったことがカルテやレセプト摘要欄で確認できることが前提になります。
みらい(新人医療事務)
右心カテーテルと左心カテーテルを両方やった場合、加算も2回分になったりしませんか。
あおい(元・医療事務)
そこは注意が必要なところです。当サイトが収集している留意事項通知には、「『1』の右心カテーテル及び『2』の左心カテーテルを同時に行った場合であっても、『注1』、『注2』、『注3』、『注4』及び『注5』の加算は1回のみに限られる」という回数の考え方が示されています。
あおい(元・医療事務)
卵円孔・欠損孔加算は「注2」に含まれる加算なので、右心カテーテルと左心カテーテルを同時に行った場合でも、この規定に沿って1回のみの算定候補になる、という整理です。
回数の考え方は一連の検査単位
D206は「一連の検査について」の点数で、右心・左心を同時に行っても注1〜5の加算は1回のみに限られると留意事項通知に示されています。同じ受診・入院で心臓カテーテル法を複数回行った場合の回数の考え方に迷うときは、審査支払機関または公式資料で確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
点数の考え方はわかりました。次は施設基準や届出について教えてください。
施設基準・届出の有無
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料の範囲では、卵円孔・欠損孔加算そのものに、個別の施設基準や地方厚生局への届出は規定されていません。D206の心臓カテーテル法を実施する体制の中で、卵円孔又は欠損孔を通しての左心カテーテル検査を実際に行った場合に算定候補になる、という位置づけです。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、届出なしでも安心して算定していいってことですか。
あおい(元・医療事務)
そこは注意が必要です。「この加算単体に個別の届出が無い」ことと、「自院で無条件に算定候補になる」ことはイコールではありません。D206自体の実施体制や、経皮的卵円孔開存閉鎖術のような別区分の手術を行う場合はそちらの施設基準・材料の取り扱いが別途関わってくることもあります。届出の要否は必ず自院の届出状況で確認してください。
施設基準・届出の確認ポイント
卵円孔・欠損孔加算そのものに個別の届出は規定されていません。ただし、D206検査を行う体制や、卵円孔開存閉鎖術のような別区分の手術・材料の取り扱いと混同しないよう、自院がどの届出を出しているかとあわせて確認しておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
届出は不要でも、体制の確認は必要なんですね。じゃあ、算定するときに気をつけるポイントを教えてください。
算定するときの注意点
あおい(元・医療事務)
一番大事なのは「実際に行った手技」と「レセプトに記載する加算」が一致しているかです。卵円孔や欠損孔があることが検査前から分かっていても、実際に卵円孔又は欠損孔を通しての左心カテーテル検査を行っていなければ、この加算だけを算定候補にすることはできません。カルテに手技の実施記録が残っているか、レセプトの摘要欄で説明できるかを確認しておくことをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
他の注2加算と混同しやすいポイントはありますか。
あおい(元・医療事務)
あります。名称が近い「ブロッケンブロー加算(経中隔左心カテーテル検査)」との混同が一番多いパターンです。どちらもD206注2の加算ですが、行った手技が違います。卵円孔・欠損孔加算は「卵円孔又は欠損孔を通しての左心カテーテル検査」、ブロッケンブロー加算は「経中隔左心カテーテル検査(ブロッケンブロー)」と、それぞれ別の手技に対する加算です。加算の名称と、カルテに記載された手技名を1対1で照合することが、取り違えを防ぐポイントになります。
実施記録との一致を必ず確認
「卵円孔又は欠損孔を通しての左心カテーテル検査」を実際に行ったという記録がカルテ・レセプト上で確認できることが前提です。記録が不十分なまま算定候補として扱うと、後日の審査で確認を求められる可能性があります。
みらい(新人医療事務)
記録が大事なんですね。次は、令和8年度の改定でこの加算がどう変わったのかも気になります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
あおい(元・医療事務)
ここは正直にお伝えしますね。当サイトが収集している一次資料は令和8年度点数表の記載が中心で、前回改定(令和6年度)時点の同項目を直接比較できる資料は、現時点では収集できていません。そのため、点数・算定要件・施設基準のいずれについても「変更があった」と断定できる一次資料は確認できていません(確認日: 2026年8月・当サイトが収集している一次資料の範囲)。
みらい(新人医療事務)
つまり、変わったかどうかは今の時点では分からない、ということですか。
あおい(元・医療事務)
そうですね。令和8年度の一次資料の中に「新設」といった注記は見当たらず、D206の注2加算の並びとして安定的に位置づけられている項目です。ただ、改定前後の比較資料そのものが手元にないので、「変更なし」と積極的に断定するのではなく、「令和8年度の一次資料の範囲では変更を示す記載が確認できていない」という言い方にとどめておきます。前回改定からの変更点が気になる場合は、公式の「個別改定項目について」の資料もあわせて確認していただくのが確実です。
改定差分の確認スコープ
令和8年度点数表: 卵円孔・欠損孔加算800点(D206注2)。前回改定(令和6年度)との比較資料は当サイトでは未収集のため、変更の有無は現時点で断定していません。
みらい(新人医療事務)
わかりました、無理に決めつけないってことですね。じゃあ最後に、自院で確認する順番を教えてください。
自院で確認する順番
あおい(元・医療事務)
次のような順番で確認していくと、迷いにくいと思います。
自院で確認する順番
- D206心臓カテーテル法(右心カテーテルまたは左心カテーテル)を実施したか確認する
- その検査の中で、卵円孔又は欠損孔を通しての左心カテーテル検査を実際に行ったかをカルテで確認する
- 経皮的卵円孔開存閉鎖術(手術)の話と混同していないか、区分を確認する
- 手技の実施内容がカルテ・レセプト摘要欄に記録されているか確認する
- 右心・左心を同時に行った場合の回数の考え方(注2は1回のみ)に沿っているか確認する
- 自院の届出状況(D206実施体制)と照らし合わせ、算定候補として確定する

みらい(新人医療事務)
この順番で見ていけば、抜け漏れが防げそうです。
よくある取り漏れ
あおい(元・医療事務)
実務でよくあるのは、次のようなケースです。
よくある取り漏れの例
卵円孔又は欠損孔を通しての左心カテーテル検査を実施したにもかかわらず、D206の基本点数だけを算定し、注2の加算を付け忘れているケースがあります。検査記録に「卵円孔」「欠損孔を通して」といった記載がある場合は、加算の算定候補になっていないか、レセプト作成時にもう一度見直すことをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
逆に、付けすぎてしまうケースもありますか。
あおい(元・医療事務)
あります。名前が似ているブロッケンブロー加算や、手術区分である経皮的卵円孔開存閉鎖術と混同して、実際には行っていない項目の点数を付けてしまうケースです。加算の名称・手技の内容・区分(検査加算か手術か)を、カルテと1件ずつ丁寧に照合することが、取り漏れ・付けすぎの両方を防ぐポイントになります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
ここまでの内容で、いくつか確認しておきたいことがあります。
みらい(新人医療事務)
卵円孔があると分かっているだけで、この加算の対象になりますか。
あおい(元・医療事務)
いいえ。一次資料の算定要件は「卵円孔又は欠損孔を通しての左心カテーテル検査を行った場合」に加算する、という書き方です。卵円孔や心房中隔欠損の存在自体ではなく、実際にそこを通した検査を行ったかどうかで判断してください。
みらい(新人医療事務)
卵円孔・欠損孔加算と、経皮的卵円孔開存閉鎖術(手術)は同時に算定候補になりますか。
あおい(元・医療事務)
それぞれ区分が異なる点数です。卵円孔・欠損孔加算はD206心臓カテーテル法の検査加算、経皮的卵円孔開存閉鎖術(K574-3)は手術の点数で、手術の注には「手術に伴う画像診断及び検査の費用は算定しない」という記載があります。同一の受診・入院でどちらの取り扱いになるかは、実施した内容と一次資料の該当箇所を個別に確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
卵円孔・欠損孔加算だけを単独で算定することはできますか。
あおい(元・医療事務)
いいえ、D206心臓カテーテル法(右心カテーテルまたは左心カテーテル)の実施が前提の加算です。基本の検査を行わずに、この加算だけを算定候補にすることはできません。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。実施した検査手技の内容や記録の状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連するD206の他の加算については、ブロッケンブロー加算や冠微小循環評価加算の記事もあわせてご覧ください。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。