みらい(新人医療事務)
先生、心臓カテーテル検査のレセプトを見ていたら「冠微小循環評価加算」という見慣れない加算がついていました。これって新しく覚えないといけない加算ですか?
あおい(元・医療事務)
冠微小循環評価加算ですね。D206「心臓カテーテル法による諸検査」に付けられる注加算のひとつで、150点です。心臓カテーテル検査の中でも、かなり専門性の高い検査をした場合に算定候補になる加算なんですよ。
みらい(新人医療事務)
「専門性の高い検査」というと、具体的にはどんなことをするんですか?
あおい(元・医療事務)
心筋虚血の症状はあるのに、造影検査では冠動脈に目立った狭窄が見つからない患者さんっていますよね。そういう場合に、ガイドワイヤを使って冠動脈の細い血管(微小血管)の血流の状態を評価する検査があります。それを行った場合に算定候補になる加算です。
冠微小循環評価加算ってどんな加算?
みらい(新人医療事務)
「冠微小循環」って言葉自体、初めて聞きました。太い血管の狭窄とは違うんですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。冠動脈造影で見えるのは比較的太い血管の狭窄ですが、それより細い「微小血管」の機能異常でも心筋虚血の症状が出ることがあります。これを冠微小循環障害と呼びます。冠微小循環評価加算は、この微小循環の機能を数値で評価するための検査に対する加算です令和8年度(2026年度)の医科点数表で定義されています。
みらい(新人医療事務)
太い血管に問題がなくても、症状が出ることがあるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。ですので、通常の冠動脈造影だけでは原因がはっきりしない患者さんに対して行う、一歩踏み込んだ検査という位置づけです。当サイトが参照している厚生労働省の告示(令和8年度医科点数表)では、D206の「注2」の中の一項目として、冠微小循環評価加算が150点と定められています。
みらい(新人医療事務)
D206ってそもそもどんな検査でしたっけ?
あおい(元・医療事務)
D206は「心臓カテーテル法による諸検査(一連の検査について)」という区分です。右心カテーテルと左心カテーテルの基本検査があり、そのうえで卵円孔・欠損孔加算、ブロッケンブロー加算、伝導機能検査加算、ヒス束心電図加算、診断ペーシング加算、期外刺激法加算、冠攣縮誘発薬物負荷試験加算、冠動脈造影加算、そして冠微小循環評価加算という、複数の注加算がぶら下がっている構造です。実施した検査の内容に応じて、該当する加算だけを算定する形になります。
どんな患者さん・場面で算定候補になるの?
みらい(新人医療事務)
対象になる患者さんの条件って、具体的に決まっているんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、留意事項通知にかなり具体的に書かれています。当サイトが収録している一次資料の範囲では、次のように定義されています。
算定要件の原文(留意事項通知)
「注2」の冠微小循環評価加算は、心筋虚血による症状を有する患者であって、他の検査により心筋虚血が示されているものの、冠動脈に明らかな狭窄を認めない患者に対して、冠攣縮誘発薬物負荷試験を実施した後に、冠微小循環障害の診断を目的として、冠微小血管抵抗指数等の評価を行った場合に算定する。
みらい(新人医療事務)
「冠攣縮誘発薬物負荷試験を実施した後に」とありますね。順番も決まっているんですか?
あおい(元・医療事務)
そう読めます。心筋虚血の症状があって、他の検査(心電図や画像検査など)で心筋虚血の所見は出ているのに、冠動脈造影では明らかな狭窄が見つからない。そこで冠攣縮誘発薬物負荷試験を行い、その後にガイドワイヤを用いて冠微小血管抵抗指数などの数値評価を行う、という一連の流れが要件の中に含まれています。単独で「微小循環を測ってみた」というだけでは、この要件を満たすか確認が必要になりますね。
みらい(新人医療事務)
場所は病院じゃないと算定候補にならないんですか?クリニックだとどうでしょう。
あおい(元・医療事務)
当サイトの整理では、診療所・病院のどちらも対象、外来・入院のどちらの場面も対象としています。在宅の場面については、当サイトが参照している一次資料の範囲では明記が確認できておらず、心臓カテーテル検査自体、実施できる体制(カテーテル室や循環器の専門医など)が整った医療機関に限られる検査のため、対象になりにくいと考えられます。実際にこの検査・加算が算定候補になるのは、心臓カテーテル検査を日常的に行っている医療機関になりますね。
点数はどうなってる?
みらい(新人医療事務)
点数を整理したいです。D206の基本点数と、冠微小循環評価加算の150点の関係を教えてください。
あおい(元・医療事務)
テーブルにまとめますね。
| 区分 | 点数 | 備考 |
|---|---|---|
| D206「1」右心カテーテル | 3,600点 | 基本点数 |
| D206「2」左心カテーテル | 4,000点 | 基本点数 |
| 冠攣縮誘発薬物負荷試験加算(注2) | 800点 | 該当する検査を実施した場合 |
| 冠動脈造影加算(注2) | 1,400点 | 該当する検査を実施した場合 |
| 冠微小循環評価加算(注2) | 150点 | ガイドワイヤによる冠微小循環評価を実施した場合 |
みらい(新人医療事務)
冠微小循環評価加算だけ、他の注2の加算に比べて点数が低いんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。同じ注2の中でも、ブロッケンブロー加算(2,000点)や冠動脈造影加算(1,400点)と比べると、冠微小循環評価加算は150点と控えめな設定です。厚生労働省の告示原文では、複数の加算が並べて定義されています。
告示原文(点数表)より抜粋
…冠動脈造影加算又は冠微小循環評価加算として、それぞれ800点、2,000点、400点、400点、400点、800点、800点、1,400点又は150点を加算する。
みらい(新人医療事務)
「それぞれ」の並びが分かりにくいですが、最後の「150点」が冠微小循環評価加算に対応するということですね。
あおい(元・医療事務)
はい。加算の名称の並び順と点数の並び順が対応していて、卵円孔・欠損孔加算800点、ブロッケンブロー加算2,000点、伝導機能検査加算400点、ヒス束心電図加算400点、診断ペーシング加算400点、期外刺激法加算800点、冠攣縮誘発薬物負荷試験加算800点、冠動脈造影加算1,400点、冠微小循環評価加算150点、という対応関係になります。

施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
この加算、施設基準の届出とか必要なんでしょうか?別の加算だと届出が必須のものもありましたよね。
あおい(元・医療事務)
冠微小循環評価加算については、当サイトの整理では施設基準の届出は不要としています。当サイトが参照している一次資料(告示・留意事項通知)の範囲でも、この加算に固有の施設基準や届出様式についての記載は確認できませんでした。
みらい(新人医療事務)
それなら、届出の準備をしなくてもすぐに算定候補になるということですか?
あおい(元・医療事務)
届出の手続きという意味では不要と考えられますが、断定はできません。医療機関によっては院内の運用ルールとして確認手順を設けている場合もありますし、地方厚生局によって取り扱いの確認が必要になるケースもあり得ます。実際に算定候補になるかどうかは、自院の届出状況や運用体制を踏まえて確認することをおすすめします。
施設基準の確認について
冠微小循環評価加算は、当サイトが参照している一次資料の範囲では施設基準の届出が不要とされていますが、最終的な取り扱いは地方厚生局への確認をおすすめします。
算定のタイミングと回数の注意点
みらい(新人医療事務)
算定できる回数に制限はあるんですか?右心カテーテルと左心カテーテルを同じ日に両方やった場合はどうなるんでしょう。
あおい(元・医療事務)
そこは留意事項通知に明記があります。右心カテーテルと左心カテーテルを同時に行った場合でも、注1から注5までの加算(冠微小循環評価加算が含まれる注2もここに入ります)は、1回のみとされています。
留意事項通知の原文抜粋
「1」の右心カテーテル及び「2」の左心カテーテルを同時に行った場合であっても、「注1」、「注2」、「注3」、「注4」及び「注5」の加算は1回のみに限られる。
みらい(新人医療事務)
両方やったからといって2回分にはならない、ということですね。ほかに気をつけるポイントはありますか?
あおい(元・医療事務)
もうひとつ大事な違いがあります。留意事項通知には「注3、注4、注5及び注6に掲げる加算は、主たる加算を患者1人につき月1回に限り算定する」という規定がありますが、これは注3~注6が対象で、冠微小循環評価加算が属する注2はこの月1回ルールの対象として明記されていません。つまり注2の中のどの加算に該当するかは、実際に行った検査の内容によって個別に判断する、という整理になります。
みらい(新人医療事務)
注の番号によって扱いが違うんですね、ややこしいです…。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。ですので算定にあたっては、実施した検査の内容と、対応する注の番号を照らし合わせて確認する必要があります。不明な点があれば、レセプト担当同士で確認し合うか、審査支払機関に問い合わせるのが確実です。
併算定・回数の注意
右心・左心カテーテルを同時に実施しても注1~注5の加算は1回のみです。また、当サイトが参照している一次資料の範囲では、冠微小循環評価加算そのものに月1回などの明示的な回数上限の記載は確認できていません。実施内容と算定回数の対応は自院で必ず確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回改定(令和6年度)のときから点数とか変わっていたりしますか?
あおい(元・医療事務)
そこは正直にお伝えしますね。当サイトが参照している令和8年度の一次資料(告示・留意事項通知)の範囲では、冠微小循環評価加算について前回改定(令和6年度)からの変更点を具体的に示す記述は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚生労働省一次情報ベース)。
みらい(新人医療事務)
「確認できていない」ということは、変わっていないと考えていいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
そこは慎重に言う必要があります。「変更なしと確認できた」のではなく、「当サイトが参照している範囲の資料には、変更を示す記述が見当たらなかった」ということです。冠微小循環障害の評価という検査自体、比較的新しい臨床概念でもあるので、新設の経緯や過去の改定での位置づけについては、厚生労働省が公開している改定資料(個別改定項目についてなど)を直接確認していただくのが確実です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
うちの医療機関で算定候補になるか、順番に確認したいです。
あおい(元・医療事務)
では確認の流れを整理しますね。
自院で確認する順番
- 心臓カテーテル検査(D206)を実施できる体制があるか確認する
- 対象の患者さんが、心筋虚血の症状があり、他の検査で心筋虚血の所見が出ているか確認する
- 冠動脈造影で明らかな狭窄が認められないケースかどうかを確認する
- 冠攣縮誘発薬物負荷試験を実施したかどうかをカルテで確認する
- その後にガイドワイヤを用いた冠微小血管抵抗指数等の評価(冠微小循環評価)を実施したかを確認する
- 実施した検査の内容と、レセプトに記載する注の番号(注2・150点)が対応しているか照合する

みらい(新人医療事務)
手順を追っていくと、どのタイミングでこの加算が出てくるのか分かりやすいです。
あおい(元・医療事務)
この加算は、単に「微小循環を測った」だけでなく、心筋虚血の症状・他検査での所見・冠動脈造影での狭窄なし・冠攣縮誘発薬物負荷試験の実施、という複数の条件がそろって初めて算定要件を満たす構造になっています。カルテと検査記録を突き合わせて確認する習慣をつけておくと安心ですね。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でよくある取り漏れのパターンってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか考えられるポイントを挙げますね。
確認しておきたいポイント
検査の順番: 冠攣縮誘発薬物負荷試験を実施した後に冠微小循環評価を行う、という順序が要件に含まれているため、実施順がカルテ上で分かるようにしておくとよいでしょう。 冠動脈造影の結果: 「明らかな狭窄を認めない」患者が対象なので、造影所見の記録も併せて確認しておくと安心です。 注の番号の対応: D206の注2にはほかにも複数の加算(冠動脈造影加算・冠攣縮誘発薬物負荷試験加算など)が並んでいるため、どの検査に対してどの加算を算定したのか、対応関係を取り違えないようにしましょう。 右心・左心同時実施時の回数: 同日に右心・左心カテーテルを両方行っても、注1~注5の加算は1回のみである点も見落としやすいポイントです。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問させてください。冠微小循環評価加算は、冠動脈造影加算と同時に算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
冠動脈造影と冠微小循環評価をどちらも実施した場合、それぞれが要件を満たしていれば、両方とも算定候補になり得ます。ただし右心・左心を同時に行った場合の「注1~注5は1回のみ」という制限は、加算ごとに1回までという意味であり、異なる注の加算(冠動脈造影加算と冠微小循環評価加算)を両方算定できないという意味ではありません。実際の組み合わせについては、実施内容を踏まえて個別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
クリニックでも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトの整理では、診療所(クリニック)・病院のどちらも対象としています。ただし、心臓カテーテル検査自体、専門的な設備と体制が必要な検査ですので、実施できる体制があるかどうかがまず前提になります。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)のときは、この加算はどう扱われていたんですか?
あおい(元・医療事務)
令和6年度(2024年度)改定時点での扱いについて、当サイトが参照している令和8年度の一次資料の範囲では、比較できる記述が見当たりませんでした。正確な改定履歴を確認したい場合は、厚生労働省が公開している令和8年度改定の一次資料を直接確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出をしていなくても、算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが参照している一次資料の範囲では、冠微小循環評価加算そのものに固有の施設基準・届出は確認されていません。ただし、D206の心臓カテーテル法による諸検査を実施するための体制や、他の加算・材料に関する届出が別途必要になる場合もあります。届出状況については自院で改めて確認いただくのが確実です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。