みらい(新人医療事務)
先日、輸血のレセプトを見ていたら「HLA型検査クラス1加算」という項目が出てきました。これって普段あまり見ない名前なんですけど、どんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
これはK920 輸血の注7に定められている加算です。HLA型適合血小板輸血を行ったときに、HLA型のクラスⅠ(A、B、C)を検査した費用として、所定点数に1,000点を加算する取り扱いになっています。輸血そのものの点数とは別建てで、検査の実施に対して加算される仕組みです。
みらい(新人医療事務)
「HLA型適合血小板輸血」というのが、まず聞き慣れないです。普通の輸血と何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
通常の血小板輸血がうまく効かなくなってしまった患者さんに対して、HLA型を合わせた血小板を選んで輸血する治療法です。厚生労働省の留意事項通知では、対象となる患者像がかなり具体的に書かれています。白血病又は再生不良性貧血の患者さんで、抗HLA抗体のために血小板輸血に対して不応状態となり、かつ強い出血傾向を呈している場合に限る、とされています。
みらい(新人医療事務)
誰にでも算定できるわけではなく、かなり限定された患者さんが対象なんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。だからこそ、対象患者の状態や検査の実施経緯を診療録にきちんと残しておくことが大事になります。この記事では、点数区分、対象患者の目安、施設基準・届出の考え方、算定時の注意点を順番に整理していきますね。
対象になる医療機関・患者は?
みらい(新人医療事務)
まず、どういう患者さんが対象になるのか、もう少し詳しく知りたいです。
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知には、対象となる患者の目安が数値でも示されています。血小板数がおおむね、白血病の患者さんで2万/mm3以下、再生不良性貧血の患者さんで1万/mm3以下を標準とする、とされています。抗HLA抗体による血小板輸血不応状態であることと、強い出血傾向があることの両方が前提になっています。
みらい(新人医療事務)
血小板数の目安があるのは助かります。院内で確認するときの手がかりになりますね。
あおい(元・医療事務)
はい。ただしこれは「標準」とされている目安であって、個々の患者さんの臨床判断は主治医が行うものです。当サイトが収録している一次資料の範囲でわかるのはここまでで、個別の適応判断そのものを当サイトが代わりに行うことはできません。
みらい(新人医療事務)
医療機関側の条件はどうですか?診療所でもできるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
K920 輸血は医科点数表の手術の部・輸血料に位置づけられている項目で、対象医療機関を診療所や病院で明示的に区分する記載は、当サイトが収録している資料の範囲では確認できていません。実務上は、HLA型適合血小板の手配や検査体制が必要になるため、輸血療法や血液疾患の診療体制を持つ病院で算定されるケースが中心になると考えられますが、これは資料に基づく断定ではなく実務上の傾向としての整理です。自院での算定候補になるかどうかは、体制と対象患者の有無を踏まえて個別に確認する必要があります。
点数はいくらですか?(点数区分)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
医科点数表のK920輸血 注7に、はっきり書かれています。「HLA型適合血小板輸血に伴って行ったHLA型クラスⅠ(A、B、C)又はクラスⅡ(DR、DQ、DP)の費用として、検査回数にかかわらず一連につきそれぞれの所定点数に1,000点又は1,400点を加算する」という条文です。クラスⅠが今回のHLA型検査クラス1加算で1,000点、クラスⅡは別の加算として1,400点になります。

| 区分 | 検査対象 | 加算点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| HLA型検査クラスⅠ加算 | A、B、C | 1,000点 |
| HLA型検査クラスⅡ加算 | DR、DQ、DP | 1,400点 |
みらい(新人医療事務)
クラスⅠとクラスⅡ、両方の検査をした場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
条文では「それぞれの所定点数に」加算する、という書き方になっていて、クラスⅠとクラスⅡを同時に算定できるかどうかを明確に述べた記載は、当サイトが収録している資料の範囲では見当たりません。実施した検査の内容に応じてどちらか一方、あるいは両方が算定候補になり得ますが、同時算定の可否は審査支払機関の判断が関わる部分なので、レセプト作成時に個別に確認したほうが安心です。
みらい(新人医療事務)
「検査回数にかかわらず一連につき」というのも気になります。
あおい(元・医療事務)
これは、同じ治療の一連の中で検査を複数回行っても、加算としては重複して算定しない、という趣旨の表現です。何度も検査を繰り返したからといって点数が増えるわけではない、と読み取れます。
施設基準は必要ですか?
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するのに、届出が必要な施設基準ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
K920輸血の条文を見ると、注13の無菌的分割製剤作成加算のように「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において」という前置きがある加算と、そうでない加算があります。注7のHLA型検査クラス1加算・クラス2加算には、当サイトが収録している資料の範囲では、そうした施設基準の届出を求める文言は確認できませんでした。
みらい(新人医療事務)
つまり、この加算だけを見れば特別な届出はいらなさそうということですね。
あおい(元・医療事務)
はい、収録資料の範囲ではそう読み取れます。ただし輸血そのものを行う体制(血液型検査や交叉試験ができる検査体制、血液製剤の管理体制など)は当然必要ですし、あわせて輸血管理料などの届出が必要な項目を算定している医療機関も多いので、加算単体の要件だけでなく輸血業務全体の体制を確認したうえで、算定候補かどうかを判断していただくのが安全です。
届出は必要ですか?
みらい(新人医療事務)
さっきの話と少し重なりますが、地方厚生局への届出は不要と考えていいんでしょうか。
あおい(元・医療事務)
注7自体に届出を求める記載が見当たらない、という限りでは届出不要の可能性が高い加算です。ただし「不要」と断定してしまうと、告示や通知が今後改められた場合に対応できなくなってしまいます。実務上は、最新の告示・通知と自院が届け出ている施設基準の一覧を突き合わせて、確認が必要という前提で扱ってください。
みらい(新人医療事務)
輸血管理料は届出が必要でしたよね。
あおい(元・医療事務)
そうです。輸血管理料は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関でなければ算定できません。HLA型検査クラス1加算とは別建ての届出制度なので、輸血管理料を算定している医療機関でも、この加算の要件は別に確認する必要があります。
算定のタイミングと注意点
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まず対象になるのは、あくまでHLA型適合血小板輸血に伴って行った検査です。通常の血小板輸血に対して行った検査には、この加算は使えません。次に、検査回数にかかわらず一連につき加算する取り扱いなので、同じ治療の中で複数回検査をしても、加算を複数回積み上げることはできません。
算定時の注意
HLA型検査クラス1加算は、HLA型適合血小板輸血に伴って行った検査であることが前提です。対象患者: 白血病又は再生不良性貧血で、抗HLA抗体による血小板輸血不応状態かつ強い出血傾向がある患者に限られます。算定単位: 検査回数にかかわらず一連につき1,000点で、同一治療内での重複算定はできません。個別の算定可否は、診療内容・診療録の記載・審査支払機関の判断によって最終的に決まります。
みらい(新人医療事務)
併せて算定する項目についても教えてください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から、この加算に変更はあったんでしょうか。
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、HLA型検査クラス1加算(注7・1,000点)について、前回改定(令和6年度)からの点数・算定要件の変更は確認されていません(2026年8月確認)。K920輸血の条文構成としても、注7がHLA型適合血小板輸血に伴う検査加算という位置づけである点は同じです。
改定確認のポイント
確認した時点: 2026年8月・当サイトが収録している厚生労働省の医科点数表(令和8年度)に基づく確認です。確認できたこと: 点数区分(クラスⅠ1,000点/クラスⅡ1,400点)と算定要件の記載に変更は見当たりません。留意点: 疑義解釈や告示の追加改正が今後出る可能性もあるため、算定前には最新の告示・通知を必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
「変更なし」と分かると、逆に安心できますね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし変更がないからといって、届出や体制の確認を省略していい、という意味ではありません。次は自院での確認手順を整理していきましょう。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちの医療機関で算定候補になるか確認するには、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
大きく分けると、対象患者の有無、検査・輸血の実施内容、診療録の記載、この3つを順番に見ていくとわかりやすいです。

自院で確認する順番
HLA型適合血小板輸血を実施したか: 通常の血小板輸血ではなく、HLA型を合わせた血小板輸血を行ったかどうかを確認します。 対象患者の条件に当てはまるか: 白血病又は再生不良性貧血で、抗HLA抗体による血小板輸血不応状態かつ強い出血傾向があるかを診療録で確認します。 HLA型クラスⅠ検査を実施したか: A、B、Cの検査を行った場合はクラスⅠ、DR、DQ、DPの検査を行った場合はクラスⅡが算定候補になります。 検査結果・実施経緯を診療録に記録したか: 検査の実施日・結果・輸血との関連が診療録から追えるようにしておきます。 他の輸血関連加算との重複がないか確認する: 一連の治療内での重複算定がないか、レセプト作成前に見直します。
みらい(新人医療事務)
この順番なら、レセプト担当だけでなく医師にも確認しやすそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。特に対象患者の条件(血小板数の目安や不応状態の有無)は診療録や検査結果を見ないと分からない部分なので、医事課だけで判断せず、主治医や検査部門と一緒に確認する流れを作っておくのがおすすめです。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
算定の取り漏れとして、よくあるパターンはありますか?
取り漏れが起きやすいポイント
通常の血小板輸血と混同する: HLA型適合血小板輸血に伴う検査でなければ、この加算の対象にはなりません。輸血の種類を診療録で確認せずに算定候補から外してしまうケースがあります。クラスⅠ・クラスⅡの区別を取り違える: A、B、Cの検査はクラスⅠ、DR、DQ、DPの検査はクラスⅡです。検査項目と加算区分が対応しているか確認が必要です。輸血本体や他の注加算との算定漏れ: HLA型検査クラス1加算だけに注目してしまい、血液型加算や不規則抗体加算など、同じ輸血に付随する他の加算の確認が漏れることがあります。
みらい(新人医療事務)
逆に、算定してはいけないケースも知っておきたいです。
あおい(元・医療事務)
対象患者の条件(白血病又は再生不良性貧血で、抗HLA抗体による不応状態かつ強い出血傾向)に当てはまらない場合や、通常の血小板輸血に対して行った検査の場合は、算定候補にはなりません。診療録に条件を満たす記載がなければ、審査の場面で確認を求められる可能性もあるため、記録の整備が重要です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象患者の状況や輸血の実施内容を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。