みらい(新人医療事務)
院長から「うちの診療所、在宅復帰機能強化加算って取れないか調べておいて」と言われたんですけど、有床診療所在宅復帰機能強化加算って、そもそもどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
有床診療所在宅復帰機能強化加算は、区分番号A108「有床診療所入院基本料」の注11に規定されている入院料加算です。有床診療所入院基本料1から3までのいずれかを届け出ている診療所に入院している患者について、在宅復帰機能の高さを評価する加算になります。令和8年度(2026年度)の告示・留意事項通知でもこの位置づけは維持されています。
みらい(新人医療事務)
「在宅復帰機能の高さを評価」というのは、具体的にはどういうことですか?
あおい(元・医療事務)
退院した患者さんのうち、在宅に戻れた割合や、退院後も在宅での生活が継続できているかを施設基準で確認する仕組みです。厚生労働省の留意事項通知では、次のように定義されています。
留意事項通知の定義(令和8年度)
「注11」に規定する有床診療所在宅復帰機能強化加算は、在宅復帰機能の高い有床診療所を評価したものであること。
みらい(新人医療事務)
なるほど、単に届出をすればいい加算ではなく、実際の在宅復帰実績が問われる加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。次は点数と算定タイミングを確認していきましょう。
点数と算定タイミング(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどれくらいで、いつから算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示(診療報酬の算定方法の一部を改正する件)では、次のように規定されています。
告示の規定(令和8年度・A108注11)
1から3までを算定する診療所である保険医療機関であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合するものとして地方厚生局長等に届け出たものに入院している患者については、有床診療所在宅復帰機能強化加算として、入院日から起算して15日以降に1日につき20点を所定点数に加算する。
みらい(新人医療事務)
「入院日から起算して15日以降」ということは、入院してすぐには算定できないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。入院日を起算日として数え、15日目以降の入院日について1日につき20点が加算候補になります。入院直後の期間は対象に含まれない点は見落としやすいので注意してください。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 加算名 | 有床診療所在宅復帰機能強化加算 |
| 区分 | A108有床診療所入院基本料 注11 |
| 点数 | 1日につき20点 |
| 算定タイミング | 入院日から起算して15日以降 |
| 対象入院基本料 | 有床診療所入院基本料1・2・3のいずれか |
| 届出 | 必要(地方厚生局長等への届出) |

みらい(新人医療事務)
20点というと、他の入院料加算と比べてどうなんでしょう?
あおい(元・医療事務)
点数の大小だけで判断するのではなく、まずは自院が対象要件・施設基準を満たしているかを確認することが先です。次に対象医療機関を詳しく見ていきましょう。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
うちは有床診療所なんですが、それだけで対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、有床診療所であることに加えて、有床診療所入院基本料1・2・3のいずれかを届け出ている必要があります。告示の対象要件は次のとおりです。
対象となる保険医療機関(令和8年度)
区分番号A108に掲げる有床診療所入院基本料1、有床診療所入院基本料2又は有床診療所入院基本料3を届け出ている保険医療機関に入院している患者について算定する。
みらい(新人医療事務)
有床診療所入院基本料の4とか5とかは対象に入らないんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の文言は「1から3まで」と明記されているため、有床診療所入院基本料1・2・3を届け出ている場合が対象になります。4・5を届け出ている場合にこの加算が対象になるかは、この記事の一次資料の範囲では確認できていません。個別の届出区分については、自院の届出内容と最新の告示・通知を照らし合わせて確認が必要です。ちなみに、土台となる有床診療所入院基本料自体の点数や算定要件については別記事で整理しています。
みらい(新人医療事務)
対象患者は、入院しているすべての患者さんが候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
対象医療機関の届出患者であれば候補にはなりますが、実際の算定可否は入院日からの経過日数(15日以降)や、次に説明する施設基準の充足状況によって変わってきます。どの患者にも自動的に加算されるわけではない、という点は確認しておいてください。
施設基準(3つの要件)
みらい(新人医療事務)
施設基準は具体的に何を満たせばいいんですか?
あおい(元・医療事務)
基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第7号)では、次の3つの要件をすべて満たすことが求められています。
施設基準(令和8年度・3要件)
次の施設基準を全て満たしていること。(1) 有床診療所入院基本料1、有床診療所入院基本料2又は有床診療所入院基本料3を届け出ている保険医療機関であること。(2) 次のいずれにも適合すること。ア 当該病床から退院した患者に占める在宅に退院した患者の割合が7割以上であり……。イ 在宅に退院した患者の退院後1月以内に、当該患者の在宅における生活が1月以上継続する見込みであることを確認し、記録していること。(3) 平均在院日数が 90 日以内であること。
みらい(新人医療事務)
「在宅に退院した患者の割合が7割以上」って、どう計算するんですか?
あおい(元・医療事務)
同じ通知では、直近6月間に退院した患者のうち在宅に退院した患者数を分子、直近6か月間に退院した患者数を分母として算出する方法が示されています。なお、通則5に規定する入院期間が通算される再入院患者や死亡退院した患者は、分子・分母のいずれからも除かれます。実際の計算は自院のレセプトデータで行う必要があるため、正確な数値は自院で算出・確認してください。
みらい(新人医療事務)
(2)のイにある「在宅における生活が1月以上継続する見込みであることを確認し、記録していること」というのは、どうやって確認するんですか?
あおい(元・医療事務)
同通知では、当該保険医療機関の職員が患者の居宅を訪問する方法、在宅療養を担当する保険医療機関から情報提供を受ける方法、患者が受診した際に情報提供を受ける方法などが挙げられています。居宅が遠方にあるなど、これらの方法によりがたい場合は電話等での確認も認められています。いずれの方法でも「確認し、記録していること」が要件なので、記録が残っていない場合は施設基準を満たしていない可能性があります。
みらい(新人医療事務)
(3)の「平均在院日数が90日以内」は、病棟全体の平均在院日数のことですか?
あおい(元・医療事務)
通知の文言は「平均在院日数が90日以内であること」とだけ規定されており、算出範囲の詳細まではこの記事の一次資料からは確認できていません。自院で平均在院日数を算出する際の対象範囲は、施設基準の届出様式や最新の通知の記載に沿って確認してください。
施設基準は3要件すべての充足が前提
(1)の届出区分、(2)ア・イの在宅復帰の実績と記録、(3)の平均在院日数のいずれか一つでも満たしていない場合、施設基準に適合しない可能性があります。届出前・届出後の定期確認では3要件をそれぞれ個別にチェックしてください。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていれば、自動的に算定できるようになるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、施設基準に適合しているだけでなく、地方厚生局長等への届出が受理されている必要があります。届出が受理される前の期間は、この加算の算定候補にはなりません。
みらい(新人医療事務)
すでに届出をしている診療所は、毎年更新の手続きが必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の内容に変更がない限り、原則として毎年度の更新届出は不要です。ただし、在宅復帰率が7割を下回った、平均在院日数が90日を超えた等、施設基準を満たさなくなった場合は速やかな対応が必要になります。この記事の一次資料の範囲では、施設基準を満たさなくなった場合の具体的な届出手続き(変更届の要否・様式)までは確認できていないため、該当する場合は地方厚生局への確認をお勧めします。
みらい(新人医療事務)
届出が受理されているかどうかは、どこで確認できますか?
あおい(元・医療事務)
自院の届出書類の控えや、地方厚生局から受け取った受理通知で確認できます。届出内容と現在の運用実態にズレがないかも、あわせて確認しておくと安心です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から、この加算の内容は変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している令和8年度の一次資料(告示・留意事項通知・施設基準の届出手続き通知)の範囲では、有床診療所在宅復帰機能強化加算の点数・算定要件・施設基準について、前回改定(令和6年度)からの変更を示す記述は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省一次情報ベース)。
みらい(新人医療事務)
変更がないなら、今まで通りの理解で大丈夫ということですね。
あおい(元・医療事務)
現時点で確認できている範囲では変更なしですが、疑義解釈や訂正通知が別途出ている可能性もあります。届出前には必ず最新の一次資料を確認してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、自院で何をどの順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな順番で確認するとスムーズです。
自院で確認する順番
-
有床診療所入院基本料の届出区分を確認 — 有床診療所入院基本料1・2・3のいずれかを届け出ているか
-
在宅復帰率を算出 — 直近6か月間の退院患者数のうち、在宅に退院した患者の割合が7割以上あるか
-
在宅生活継続の確認・記録を点検 — 在宅退院患者について、退院後1月以内に1月以上の生活継続見込みを確認し、記録が残っているか
-
平均在院日数を確認 — 90日以内におさまっているか
-
届出書類の準備・提出 — 施設基準の要件を満たしていることを確認できたら、地方厚生局長等への届出を準備する
-
届出受理後の算定開始日を確認 — 届出が受理された後、入院日から起算して15日以降の入院日から算定候補になる

みらい(新人医療事務)
この順番で確認すれば、抜け漏れが防げそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。特に在宅復帰率の算出と記録の有無は見落としやすいので、次によくある取り漏れも見ておきましょう。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実際によくある取り漏れって、どんなパターンがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料から確認できる範囲で、よく確認漏れになりやすいポイントを整理します。
よくある確認漏れ
- 有床診療所入院基本料4・5を届け出ている場合に、1〜3限定の要件を見落として算定してしまうケース
- 在宅復帰率の算出時に、通則5の入院期間通算再入院患者・死亡退院した患者を分子・分母から除外し忘れるケース
- 在宅生活の継続見込みの「確認」だけ行い、「記録」を残していないケース
- 平均在院日数が一時的に90日を超えた月があるのに、施設基準の見直しをしていないケース
みらい(新人医療事務)
「記録」まで残していないと、施設基準を満たしていないことになるんですか?
あおい(元・医療事務)
通知の文言は「確認し、記録していること」となっているため、確認していても記録が残っていない場合は施設基準を満たしていない可能性があります。断定はできませんが、記録の保管状況は必ず確認しておくべきポイントです。
対象範囲の見極めは自院で
有床診療所入院基本料1・2・3を届け出ていない診療所(4・5のみの届出等)については、この記事で確認した一次資料の範囲ではこの加算の対象に含まれません。ただし、届出区分は変更されることがあるため、対象外と決めつけず、自院の現在の届出内容を必ず確認してください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくある疑問も聞いておきたいです。病床数が少ない有床診療所でも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
告示・通知の要件は病床数の大小を直接の要件としていません。有床診療所入院基本料1・2・3の届出と、在宅復帰率・記録・平均在院日数の3つの施設基準を満たしているかどうかがポイントです。ただし、実際に7割以上の在宅復帰率を維持できるかは病床数や患者構成によっても変わってくるため、自院のデータで確認する価値はあります。
みらい(新人医療事務)
有床診療所療養病床入院基本料(A109)を届け出ている場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
この記事で扱っているのはA108有床診療所入院基本料の注11に規定する加算です。療養病床側(A109)にも別途、在宅復帰機能を評価する施設基準の規定がありますが、要件の数値や算出方法が異なる可能性があるため、この記事の一次資料の範囲だけで同一のものとして扱うことはできません。該当する場合は、A109側の規定を個別に確認してください。
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たさなくなったことに気づかず算定を続けてしまったら、どうなりますか?
あおい(元・医療事務)
施設基準に適合しない状態での算定は、過誤として扱われる可能性があります。在宅復帰率・記録・平均在院日数は定期的に自院で点検し、要件を満たさなくなった場合は速やかに地方厚生局へ確認することをお勧めします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や在宅復帰率などの体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。