みらい(新人医療事務)
院長から「有床診療所急性期患者支援病床初期加算」を確認しておいてって言われたんですけど、この加算って何のための加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
これは有床診療所入院基本料(A108)の「注3」に規定されている加算ですよ。急性期医療を担う病院の一般病棟に入院して急性期治療を終え、状態がある程度安定した患者さんを、有床診療所の一般病床が受け入れた場合に算定候補になる加算です。令和8年度(2026年度)の医科点数表に基づく内容として整理していきますね。
みらい(新人医療事務)
「後方病床」みたいなイメージですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。急性期病院からすると、治療を終えた患者さんの転院先を確保できることになりますし、有床診療所からすると、地域の急性期医療を後方支援する役割を担うことへの評価、と位置づけられています。厚生労働省の留意事項通知では「急性期医療を担う病院の一般病棟に入院し、急性期治療を終えて一定程度状態が安定した患者を、速やかに有床診療所の一般病床が受け入れることにより、急性期医療を担う病院の後方支援を評価するものである」と説明されています。
この加算の基本情報(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
まず点数や算定できる日数から教えてください。
あおい(元・医療事務)
表にまとめますね。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 加算名 | 有床診療所急性期患者支援病床初期加算 |
| 区分 | A108 有床診療所入院基本料「注3」 |
| 点数 | 1日につき150点 |
| 算定期間の限度 | 転院・入院・転棟した日から起算して21日 |
| 対象 | 急性期医療を担う病院の一般病棟から受け入れた患者 |
| 施設基準届出 | 必要 |
| 対象施設 | 診療所(有床診療所入院基本料を算定) |
みらい(新人医療事務)
150点ですね。同じ「注3」に、名前が似た加算もあるって聞いたんですが……
あおい(元・医療事務)
よく気づきましたね。実はここがとても間違えやすいポイントです。同じ「注3」には「有床診療所在宅患者支援病床初期加算」という別の加算も規定されていて、こちらは自宅や介護保険施設等から入院した患者さんを対象に1日300点で、治療方針に関する意思決定支援を行った場合に算定するものです。厚生労働省の告示では次のように区別されています。
2つの初期加算は対象患者も点数も別物
有床診療所急性期患者支援病床初期加算: 急性期医療を担う病院の一般病棟から転院した患者が対象、1日150点。 有床診療所在宅患者支援病床初期加算: 介護老人保健施設・介護医療院・特別養護老人ホーム・軽費老人ホーム・有料老人ホーム等または自宅から入院した患者が対象、1日300点(意思決定支援を行った場合)。 ※この記事で扱うのは前者(急性期患者支援病床初期加算)です。後者は別加算のため、対象患者を取り違えないよう自院での確認時にも区別してください。
みらい(新人医療事務)
なるほど、対象患者が「病院からの転院」か「自宅・施設からの入院」かで、加算そのものが違うんですね。

対象になる病棟の範囲
みらい(新人医療事務)
「急性期医療を担う病院の一般病棟」って、具体的にどこからの転院なら対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
ここも厚生労働省の留意事項通知で病棟の種類が具体的に列挙されています。表にすると次のとおりです。
| 転院元の病棟(入院基本料等) | 追加で必要な届出 |
|---|---|
| 急性期病院一般入院基本料 | なし |
| 急性期一般入院基本料 | なし |
| 7対1入院基本料 | なし |
| 10対1入院基本料(特定機能病院入院基本料〈一般病棟に限る〉または専門病院入院基本料に限る) | なし |
| 地域一般入院基本料 | A205救急医療管理加算の届出 |
| 13対1入院基本料(専門病院入院基本料に限る) | A205救急医療管理加算の届出 |
みらい(新人医療事務)
地域一般入院基本料と13対1入院基本料(専門病院入院基本料)のところだけ、注釈がついてますね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。留意事項通知には「ただし、地域一般入院基本料又は13対1入院基本料を算定する保険医療機関にあっては、『A205』救急医療管理加算の届出を行っている場合に限るものとする」と明記されています。つまり、転院元の病院がこの2つの入院基本料を算定している場合は、救急医療管理加算の届出があるかどうかまで確認が必要ということですね。
みらい(新人医療事務)
転院元の病棟の種類まで確認しないといけないんですね……。これは自院だけではわからないかもしれないです。
あおい(元・医療事務)
おっしゃるとおりで、転院元の病院側の届出状況の確認が前提になります。診療情報提供書や紹介元とのやり取りの中で、入院基本料の区分を確認しておくと安心です。
施設基準の確認ポイント
みらい(新人医療事務)
受け入れる側の有床診療所にも、施設基準ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、あります。まず前提として、有床診療所入院基本料を算定している診療所であることが必要で、その上で、厚生労働大臣が定める施設基準(第八の八)のうち、次の6項目のいずれか1つに該当することが必要とされています。
自院で確認する順番
- 在宅療養支援診療所であって、過去1年間に訪問診療を実施した実績があること
- 全身麻酔、脊椎麻酔又は硬膜外麻酔(手術を実施した場合に限る)の患者数が年間30件以上であること
- 救急病院等を定める省令に基づき認定された救急診療所であること
- 「救急医療対策の整備事業について」に規定された在宅当番医制又は病院群輪番制に参加している有床診療所であること
- がん性疼痛緩和指導管理料を算定していること
- 夜間看護配置加算1又は2を算定しており、夜間の診療応需態勢を確保していること
みらい(新人医療事務)
6つのうち1つでいいんですね!うちは訪問診療をしているので、1番目に該当しそうです。
あおい(元・医療事務)
可能性はありますが、「過去1年間に訪問診療を実施した実績」の具体的な件数基準や確認方法までは、この一次資料の範囲では詳細が確認できていません。実績の数え方や証明資料については、届出時に地方厚生局へ確認するか、自院の届出担当者と一緒に確認するのが確実です。
施設基準の充足は自己判断せず確認を
6項目のいずれかに「該当していそう」という段階と、実際に施設基準の届出要件を満たして受理されている段階は別です。届出の実績・書類の要否は地方厚生局または審査支払機関への確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
届出の様式なんかもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、施設基準に係る届出書添付書類として「様式12の7」が存在することまでは確認できています。ただし様式の具体的な記入方法や添付書類の細部までは、この記事の一次資料からは読み取れないため、届出の際は地方厚生局が公開している最新の様式・記入要領を直接確認してください。
算定できる期間と数え方
みらい(新人医療事務)
「21日を限度」というのは、入院してから21日間ずっと算定できるってことですか?
あおい(元・医療事務)
はい、対象患者を受け入れた(転院・入院・転棟した)日から起算して21日が上限です。1日につき150点なので、仮に21日間算定できたとすると150点×21日分が上限のイメージになりますが、実際に算定できる日数は患者さんの状態や在院日数によって変わりますので、あくまで上限の考え方として捉えてください。
みらい(新人医療事務)
22日目以降はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知や告示の範囲では、21日を超えた分についてこの加算を算定できるとは書かれていません。22日目以降にこの加算が算定候補になるかどうかは、この一次資料の範囲では確認できないため、断定はできません。レセプトの取り扱いに迷う場合は、審査支払機関へ確認することをおすすめします。
こんな場合は算定できない可能性がある
みらい(新人医療事務)
逆に、対象外になってしまうケースってどんな時ですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知に明記されている注意点が1つあります。当該加算を算定する一般病床を有する有床診療所に介護保険施設等が併設されている場合、その併設介護保険施設等から受け入れた患者については算定できないとされています。
併設の介護保険施設等からの受け入れは対象外の可能性
自院の一般病床に介護保険施設等(介護老人保健施設等)が併設されている場合、その併設施設から受け入れた患者はこの加算の対象外の可能性があります。留意事項通知には「なお、当該加算を算定する一般病床を有する有床診療所に介護保険施設等が併設されている場合は、当該併設介護保険施設等から受け入れた患者については算定できないものとする」と明記されています。受け入れ元が併設施設かどうかは必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
併設施設からの患者さんは、どちらの初期加算も算定できないってことですか?
あおい(元・医療事務)
この注意点は有床診療所急性期患者支援病床初期加算・在宅患者支援病床初期加算の両方に関わる記載として通知に置かれています。ただし、個々のケースでどちらの加算がどう扱われるかは、受け入れ元の施設種別や契約関係によっても変わってくる可能性があるため、詳細は自院の届出状況と合わせて審査支払機関に確認するのが確実です。また、そもそも転院元が「急性期医療を担う病院の一般病棟」に該当しない病棟(対象一覧に無い入院基本料など)からの転院である場合も、この加算の対象外の可能性があります。診療所や外来からの受け入れ、あるいは在宅からの受け入れは、点数・対象患者の違いから見て、この加算ではなく在宅患者支援病床初期加算側の枠組みで検討することになる可能性があります。いずれも自院の届出内容と受け入れ元の状況を照らし合わせての確認が必要です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちで算定候補かどうかを確認するには、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認していくと整理しやすいと思います。
自院で確認する順番
- 自院が有床診療所入院基本料を算定しているか確認する
- 施設基準6項目(訪問診療実績・手術件数・救急診療所認定・在宅当番医制等・がん性疼痛緩和指導管理料・夜間看護配置加算)のいずれかに該当するか確認する
- 該当する施設基準について届出済みか、地方厚生局への届出状況を確認する
- 受け入れる患者が「急性期医療を担う病院の一般病棟」からの転院にあたるか、転院元の入院基本料の区分を確認する
- 転院元が地域一般入院基本料・13対1入院基本料(専門病院入院基本料)の場合は、その病院がA205救急医療管理加算の届出をしているか確認する
- 受け入れ患者が併設の介護保険施設等からではないか確認する

みらい(新人医療事務)
こうやって順番に見ていくと、確認すべきことが多いですね……。
あおい(元・医療事務)
そうですね。届出の有無・転院元の状況・患者の受け入れ経路と、確認軸が複数またがる加算なので、1つずつ潰していくのがおすすめです。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
この加算は届出をしていなくても算定できますか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の届出が前提の加算なので、届出をしていない場合は算定候補にならない可能性が高いです。まずは届出状況を確認してください。
みらい(新人医療事務)
有床診療所在宅患者支援病床初期加算と同時に算定することはできますか?
あおい(元・医療事務)
この2つは対象患者が異なる加算(急性期病院からの転院 vs 自宅・介護施設等からの入院)として整理されています。同一患者について同時に両方を算定する場面は、そもそも対象患者の定義上想定しにくいですが、個別の算定可否についてはこの一次資料の範囲では断定できないため、判断に迷う場合は審査支払機関に確認してください。
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定の時と比べて、この加算に変更はありましたか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、令和6年度(2024年度)時点のこの加算に関する記載を確認できておらず、令和8年度(2026年度)改定での点数・施設基準の変更点を裏付ける記載も見当たりませんでした。前回改定からの変更点については確認できた情報がないため、断定は避けます。自院で正確な経緯を確認したい場合は、厚生労働省の改定資料や審査支払機関にご確認ください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
さっきの質問とも関係しますが、この加算の改定差分について、もう少し詳しく教えてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、有床診療所急性期患者支援病床初期加算について、令和6年度(2024年度)改定時点の点数・施設基準・対象患者に関する記載を確認できていません。そのため、令和8年度(2026年度)改定における新設・点数変更・施設基準変更の有無は、この記事の執筆時点(2026年7月)では確認されていません。今後の一次資料の確認状況によって情報を更新する可能性があります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する 有床診療所入院基本料 や 救急医療管理加算 もあわせて確認してみてください。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。