みらい(新人医療事務)
産婦人科クリニックのレセプトを見ていたら「胎児心エコー法診断加算」という項目が出てきました。これって普段の妊婦健診でも算定できる加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこはよく誤解されるところです。胎児心エコー法診断加算は、通常の妊婦健診の超音波検査ではなく、胎児の心疾患が強く疑われた症例に対して行う専門的な検査に対する加算です。まずは制度の位置づけから整理していきましょう。
この加算は何のための加算ですか
みらい(新人医療事務)
「胎児心エコー法」自体と「胎児心エコー法診断加算」は別物なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、区分が分かれています。医科点数表のD215超音波検査「3」心臓超音波検査の「ニ」に「胎児心エコー法」という検査区分があり、まずここに基本点数がついています。その上で、その検査に伴って診断を行った場合に限り、「注2」として胎児心エコー法診断加算が上乗せされる、という二段構えの仕組みです。
みらい(新人医療事務)
なるほど、検査そのものの点数と、診断まで行った場合の加算が分かれているんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。検査だけを行った場合と、その検査結果をもとに診断まで行った場合とで、算定できる点数が変わってくる、という理解が出発点になります。届出済みであれば算定候補になりますが、要件が細かいので一つずつ確認していきましょう。
対象になる医療機関・患者
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関で、どんな患者さんに対して算定を検討することになりますか?
あおい(元・医療事務)
対象医療機関は診療所・病院のどちらも含まれます。外来・入院のいずれの場面でも検討対象になり得ますが、在宅(訪問診療)は今回の加算の対象区分には含まれません。対象患者については、厚生労働省の通知で「胎児の心疾患が強く疑われた症例」と明記されています。日常的なスクリーニングの超音波検査とは前提が異なる点に注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
「強く疑われた症例」というのは、具体的にどう判断するんでしょうか。
あおい(元・医療事務)
そこは一次資料に定義された基準以上の細かい医学的判断が必要になる部分なので、この記事では断定はできません。個々の症例が該当するかどうかは、実際に検査・診断を行う医師の医学的判断と自院の記録に基づいて確認することになります。当サイトが確認できているのは、通知本文に「胎児の心疾患が強く疑われた症例」という要件が明記されている、という事実の範囲です。
点数とコードの整理

みらい(新人医療事務)
点数はどのくらいになるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表では、D215超音波検査「3」心臓超音波検査「ニ」胎児心エコー法そのものが300点です。そのうえで、当該検査に伴って診断を行った場合に、胎児心エコー法診断加算として1,200点が所定点数に加算されます。診断まで行った場合は、検査点数と加算を合わせて算定を検討することになります。
| 区分 | 内容 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| D215「3」「ニ」 | 胎児心エコー法(検査そのもの) | 300点 |
| 同「注2」 | 胎児心エコー法診断加算(診断を行った場合) | 1,200点 |
| 参考: 同「3」「イ」 | 経胸壁心エコー法 | 880点 |
| 参考: 同「3」「ハ」 | 経食道心エコー法 | 1,800点 |
みらい(新人医療事務)
加算のほうが検査本体の点数より大きいんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし加算は「検査に伴って診断を行った場合」に限られており、検査だけを実施して診断まで至らない場合には算定候補になりません。ここは記録の残し方も含めて確認が必要なポイントです。
医科診療行為マスターコードの確認について
個別のレセプト電算処理用コードは医療機関のレセプトコンピュータや医科診療行為マスターで確認してください。当サイトの一次資料の範囲では、点数と算定要件までの確認にとどめています。
施設基準・実施医師の要件
みらい(新人医療事務)
施設基準はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
通知本文には「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において行われる場合に、月1回に限り算定する」とあります。つまり、施設基準に適合し届出を行っていることが前提で、かつ算定できるのは月1回までです。
みらい(新人医療事務)
施設基準の中身はどういう内容なんでしょうか。
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の通知では、実施する医師についての要件が明記されています。具体的には「循環器内科、小児科又は産婦人科の経験を5年以上有する医師(胎児心エコー法を20症例以上経験している者に限る。)が診断又は経過観察を行う場合に算定」できるとされています。診療科の経験年数と、胎児心エコー法そのものの経験症例数の両方が求められている点が特徴的です。
みらい(新人医療事務)
経験年数と症例数、どちらか一方ではダメなんですね。
あおい(元・医療事務)
通知の文言上は両方の要件が並記されています。自院の担当医師がこの要件を満たしているかどうかは、経歴・研修歴の記録とあわせて確認が必要です。要件の充足そのものをこの記事で判定することはできませんので、自院での確認をお願いします。
加算の算定は「診断を行った場合」に限られます
通知には「胎児心エコー法診断加算は、当該検査に伴って診断を行った場合に限り算定する」と明記されています。経過観察のみを行った場合の加算算定については、この一文の範囲では確認できません。診断を行った事実が記録から確認できるかどうかを、算定前にチェックしてください。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
施設基準はわかりました。じゃあ届出ってどうすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
届出は地方厚生局長等に対して行います。届出の様式や添付書類の詳細は、厚生局が公開している施設基準の届出様式を確認してください。当サイトの一次資料の範囲では、届出が算定の前提条件であること、月1回に限り算定できること、という要件までしか確認できていません。届出の要否や様式の細部については、必ず地方厚生局の公式情報でも二重に確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
届出をしていないと、そもそも検査自体もできないんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこは分けて考える必要があります。届出は「胎児心エコー法」の区分の算定に関する施設基準の要件であって、検査そのものを実施できるかどうかとは別の話です。届出済みでなければ、この区分での算定候補にはならない、という理解が正確です。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定できる回数に制限はありますか?
あおい(元・医療事務)
はい、通知に「月1回に限り算定する」と明記されています。同一月内に複数回検査を行った場合でも、算定候補になるのは月1回までという点に注意してください。
みらい(新人医療事務)
他の検査と一緒に算定できないものもあるんでしょうか。
あおい(元・医療事務)
一次資料で確認できている範囲では、「4」の「イ」の胎児心音観察に係る費用が、胎児心エコー法診断加算の所定点数に含まれており、別に算定できないとされています。つまり、胎児心エコー法と同時に胎児心音観察を行っても、胎児心音観察の分を重ねて算定することは想定されていません。
併算定・記録要件は必ず通知本文で確認してください
通知には「その際、当該検査で得られた主な所見を診療録に記載すること」とも明記されています。診療録への記載がない場合、算定の妥当性を後から説明しにくくなる可能性があります。併算定の可否や記録の残し方について迷う場合は、審査支払機関にも確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
似たような超音波検査の加算って、ほかにもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
同じD215超音波検査の区分には、パルスドプラ法加算や微小栓子シグナル加算のように、特定の検査手技に対して点数を上乗せする加算がいくつかあります。胎児心エコー法診断加算とは対象となる検査区分が異なりますので、混同しないよう、それぞれの算定要件を個別に確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できている令和8年度の一次資料(医科点数表・実施上の留意事項)の範囲では、胎児心エコー法診断加算の点数(1,200点)、月1回の算定制限、施設基準の届出要件、実施医師の経験年数・症例数の要件について、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省一次情報ベース)。
改定差分の確認範囲について
この確認は当サイトが収録している令和8年度の一次資料と令和8年度改定の通知本文を突き合わせた範囲にとどまります。令和6年度時点の一次資料そのものは今回参照できていないため、「変更なし」という記述は「令和8年度の一次資料の中で変更を示す記載が見当たらない」という意味です。正確な経緯は厚生労働省の改定情報や地方厚生局の案内で確認してください。
自院で確認する順番

みらい(新人医療事務)
結局、うちのクリニックで確認すべき順番はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認していくとわかりやすいです。
自院で確認する順番
- 胎児心エコー法の施設基準について、地方厚生局への届出を済ませているか確認する
- 検査を担当する医師が、循環器内科・小児科・産婦人科いずれかの経験5年以上、かつ胎児心エコー法20症例以上の経験という要件を満たしているか確認する
- 対象患者が「胎児の心疾患が強く疑われた症例」に該当し、実際に診断を行ったかどうかを診療録の記載で確認する
- 同一月内の算定回数が1回を超えていないか、胎児心音観察等の重複算定がないかを確認する
みらい(新人医療事務)
この4つが全部そろっていれば、算定候補になるということですね。
あおい(元・医療事務)
はい、その理解で進めていただいて大丈夫です。ただし、最終的な該当性の判断は自院の記録と届出状況、そして審査支払機関の確認を経て確定するものです。この記事の内容だけで確定的な算定可否を判断しないようにしてください。
よくある取り漏れ
診断まで行ったかどうかの記録漏れ
検査は実施したものの、診断を行った事実が診療録上で明確でないと、加算の算定根拠が説明しにくくなります。「主な所見を診療録に記載すること」という通知の要件を、日々の運用に落とし込めているか確認してください。
実施医師の経験要件の確認漏れ
施設基準の届出をしていても、実際に検査を担当する医師の経験年数・症例数が要件を満たしているかどうかは、担当医師が交代した際に見落とされがちです。人事異動のタイミングで再確認することをおすすめします。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
通常の妊婦健診で行う超音波検査でも、この加算は算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
通知に定められている対象は「胎児の心疾患が強く疑われた症例」です。通常の妊婦健診で行う一般的なスクリーニング検査がこの要件に該当するかどうかは、個別の症例ごとの医学的判断によります。この記事だけでは一律に判断できませんので、該当性については自院で個別に確認してください。
みらい(新人医療事務)
助産師や検査技師が検査を行った場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の通知で明記されているのは、実施する「医師」の経験年数・症例数の要件です。医師以外が検査に関与する場合の取り扱いについて、この記事で参照した一次資料の範囲では具体的な記載を確認できていません。自院の体制については、届出内容や公式資料で改めて確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
経過観察だけを行った場合、加算は算定候補になりませんか?
あおい(元・医療事務)
通知には「胎児心エコー法診断加算は、当該検査に伴って診断を行った場合に限り算定する」と明記されています。経過観察のみを行った場合の加算算定の可否については、この一文だけでは断定できません。診断を行った事実があるかどうかを診療録で確認したうえで、判断してください。
公式資料の根拠
みらい(新人医療事務)
今回の話の根拠になっている資料も教えてください。
あおい(元・医療事務)
主に厚生労働省の医科点数表(告示)と、実施上の留意事項についての通知(保医発0305第6号)を参照しています。点数と算定回数の制限は医科点数表本体に、対象患者・実施医師の要件・診療録の記載要件は留意事項通知に記載されています。いずれも厚生労働省が公表している令和8年度診療報酬改定の一次資料です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。