みらい(新人医療事務)
先生、レセプトを見ていたら「羊膜移植加算」っていう項目が出てきたんですけど、これってどういう加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
眼科の手術に関わる加算ですよ。角膜や結膜の手術で羊膜を移植した場合に、もとの手術の点数に上乗せする形で算定候補になる加算です。令和8年度の点数表でも同じ枠組みで規定されています。
みらい(新人医療事務)
「もとの手術に上乗せ」ということは、羊膜移植加算だけを単独で算定することはできないんですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。羊膜移植加算は単独の手術ではなく、決められた手術と一緒に行ったときにその手術の所定点数へ加算するものです。当サイトが収録している一次資料の範囲では、対象になる手術は次の6つが確認できます。
羊膜移植加算とは(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
対象になる手術、具体的に教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表では、K215-2 眼瞼結膜腫瘍手術、K216 眼瞼結膜悪性腫瘍手術、K224 翼状片手術(弁の移植を要するもの)、K225-2 結膜腫瘍摘出術、K225-4 角結膜悪性腫瘍切除術、K259 角膜移植術のそれぞれの「注」に、羊膜移植術を併せて行った場合の加算として規定されています。
みらい(新人医療事務)
点数はどの手術でも同じなんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、どの手術に対する加算でも5,000点で共通しています。手術ごとの所定点数が違っても、羊膜移植加算として上乗せされる点数は5,000点で揃っているのが特徴です。
どの手術に加算されるのか(対象手術と点数)
みらい(新人医療事務)
一覧で見せてもらえると助かります。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表本体(別表第一)で確認できる範囲を、表にまとめました。
| 区分 | 手術名 | 所定点数 | 羊膜移植加算 |
|---|---|---|---|
| K215-2 | 眼瞼結膜腫瘍手術 | 5,140点 | +5,000点 |
| K216 | 眼瞼結膜悪性腫瘍手術 | 11,900点 | +5,000点 |
| K224 | 翼状片手術(弁の移植を要するもの) | 3,650点 | +5,000点 |
| K225-2 | 結膜腫瘍摘出術 | 6,290点 | +5,000点 |
| K225-4 | 角結膜悪性腫瘍切除術 | 6,290点 | +5,000点 |
| K259 | 角膜移植術 | 52,600点 | +5,000点 |

みらい(新人医療事務)
K259角膜移植術のところ、「注3」って書いてあるのが気になります。ほかにも注釈があるんですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。K259角膜移植術には注1にレーザー使用加算、注2に内皮移植加算、注3に羊膜移植加算と、3つの上乗せ加算が並んでいます。羊膜移植加算はそのうちの注3にあたる加算です。混同しやすいので、レセプトを見るときはどの「注」の加算なのかを必ず確認するようにしてください。
名前が似ている項目に注意
「羊膜移植加算」と「K260-2 羊膜移植術」は別物です。K260-2 羊膜移植術は羊膜移植そのものを単独手術として行う区分(10,530点)で、今回の羊膜移植加算とは点数表上の区分が異なります。当サイトが収録している一次資料の範囲では、羊膜移植加算はあくまで上記6手術の「注」に対する上乗せ点数として規定されています。区分番号や点数を転記するときは、この2つを取り違えないよう注意してください。
算定できるのはどんなケースか(対象患者・適応)
みらい(新人医療事務)
どんな患者さんに対して行った場合に、この加算の対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、対象手術の一部についてこう書かれています。「『注』に規定する羊膜移植加算は、羊膜移植以外では治療効果が期待できないものに対して実施した場合に算定する。」つまり、羊膜移植でなければ治療効果が見込めないケースが前提になっています。
みらい(新人医療事務)
K259角膜移植術のほうにも、同じような記載があるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。K259角膜移植術の留意事項通知にも「『注3』に規定する羊膜移植加算は、羊膜移植以外では治療効果が期待できないものに対して実施した場合に算定する。」と、同じ趣旨の一文があります。対象手術が違っても、この「羊膜移植以外では治療効果が期待できない」という条件は共通していると確認できます。
みらい(新人医療事務)
そのあたりの判断は、うちのような一般的な眼科の診療所でも自分たちで決めていいものなんでしょうか。
あおい(元・医療事務)
そこは慎重にしたいところです。「羊膜移植以外では治療効果が期待できない」かどうかは臨床的な判断が必要な部分なので、この記事だけでは判断しきれません。執刀医の診療録の記載や院内のカルテ記録を確認したうえで、確認が必要な項目として扱ってください。
遵守すべき基準(学会ガイドライン)
みらい(新人医療事務)
対象の患者さんに当てはまっていれば、それだけで算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、もう一つ条件があります。留意事項通知には「日本組織移植学会が作成した『ヒト組織を利用する医療行為の安全性確保・保存・使用に関するガイドライン』等関連学会から示されている基準等を遵守している場合に限り算定する。」とあります。つまり、関連学会のガイドラインなどの基準を守っていることが前提です。
みらい(新人医療事務)
「等関連学会」ってちょっとふわっとしていませんか?自院がどの基準を満たしていればいいのか、正直よくわからないです。
あおい(元・医療事務)
そうですね、この一文だけでは具体的にどの基準を満たせばよいかまでは確定できません。日本組織移植学会のガイドラインを起点に、自院で使用している羊膜の入手経路や保存方法が学会基準に沿っているかどうかを、院内で確認する必要がある項目として扱ってください。
ガイドライン遵守は自己申告的な要件
届出や施設基準の様式提出とは異なり、学会ガイドラインの遵守は診療の実態として満たしているかどうかが問われる要件です。羊膜の入手先・保存方法・使用記録が学会基準に沿っているか、自院の運用を確認したうえで算定候補かどうかを判断してください。
併算定・費用の取り扱いに関する注意
みらい(新人医療事務)
羊膜を採取したり、適合性の検査をしたりする費用は、別に算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこも留意事項通知に明記されています。「羊膜採取料及び組織適合性試験の費用は、当該加算点数に含まれ、別に算定できない。」と書かれていて、羊膜移植加算の5,000点の中にこれらの費用が含まれる扱いになっています。
みらい(新人医療事務)
羊膜を保存しておくための費用なんかも、同じ扱いですか?
あおい(元・医療事務)
はい。「羊膜を採取・保存するために要する全ての費用は、当該加算点数に含まれ別に請求できない。」ともあります。採取・保存にかかる費用は基本的にすべて加算点数の中に含まれていて、別立てで患者さんや保険者に請求することはできない、という整理です。
みらい(新人医療事務)
これは結構見落としやすいポイントですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。加算の点数だけを見て「羊膜移植加算+材料費」のように別立てで積算してしまうと、過剰請求につながりかねません。レセプト作成時に、羊膜関連の費用が二重計上になっていないかを確認する項目として意識しておくとよいと思います。

届出は必要か
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するのに、事前の届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、羊膜移植加算そのものに個別の施設基準届出は確認できていません。ただし、届出が不要だからといって審査の対象外というわけではなく、先ほどの学会ガイドライン遵守や適応の妥当性は、診療録の記載などで確認できる状態にしておく必要があります。
みらい(新人医療事務)
届出がないぶん、逆に記録を残しておくことが大事になりそうですね。
あおい(元・医療事務)
その理解で合っていると思います。届出という形式的な手続きがない分、実施記録・使用した羊膜の由来・適応判断の根拠を診療録に残しておくことが、確認が必要になった際の備えになります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前の改定から何か変わったところってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(令和8年度の点数表・留意事項通知)の範囲では、羊膜移植加算の点数(5,000点)や対象手術、適応条件について、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省一次情報ベース)。今回の記事は令和8年度の一次資料をもとに整理していますので、算定の際は必ず最新の公式資料もあわせてご確認ください。
改定差分を確認するときのコツ
点数が変わっていなくても、対象手術の追加・除外や、遵守すべきガイドラインの参照先が更新されているケースもあります。改定年度をまたいで算定する場合は、点数だけでなく対象手術の一覧と留意事項通知の文言まで見比べることをおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
情報が多かったので、最後に確認の順番を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
では自院で確認する順番をまとめますね。
自院で確認する順番
- 行った手術がK215-2、K216、K224、K225-2、K225-4、K259のいずれかに該当するか確認する
- その手術に羊膜移植術を併せて実施したかどうかを診療録で確認する
- 「羊膜移植以外では治療効果が期待できない」症例かどうか、執刀医の判断根拠が記録されているか確認する
- 日本組織移植学会のガイドライン等、関連学会の基準に沿った羊膜の入手・保存・使用が行われているか確認する
- 羊膜採取料・組織適合性試験費用・保存費用を別立てで請求していないか確認する
よくある取り漏れ
取り漏れやすいポイント
K259角膜移植術は注1〜注3に3つの加算が並んでいるため、レーザー使用加算や内皮移植加算だけを算定して、羊膜移植を併せて行った記録があるのに羊膜移植加算の入力が漏れているケースがあります。手術記録に「羊膜移植」の記載があるかどうかを、レセプト確定前に見直してみてください。
みらい(新人医療事務)
ほかにもよくある間違いってありますか?
あおい(元・医療事務)
先ほども触れましたが、K260-2羊膜移植術(単独の手術区分)と羊膜移植加算を混同して、点数や算定要件を取り違えてしまうケースもあります。名称が似ているので、レセプトソフトのマスター検索をするときは区分番号(K215-2〜K259の「注」か、K260-2そのものか)まで見て入力するようにしてください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくある疑問をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
羊膜移植加算は、対象手術であればどんな患者さんにも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、断定はできません。留意事項通知にあるとおり「羊膜移植以外では治療効果が期待できないもの」に対して実施した場合が前提です。対象手術に該当していても、適応の妥当性は個別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
羊膜の材料費や保存費用は、別に患者さんに請求してもいいんですか?
あおい(元・医療事務)
それもできません。羊膜採取料・組織適合性試験の費用・保存にかかる費用は、いずれも加算点数に含まれていて別に算定できないと留意事項通知に明記されています。
みらい(新人医療事務)
この加算は診療所でも算定候補になりますか、それとも病院に限られますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、医療機関の種別を診療所・病院で区分する記載は確認できていません。対象手術を実施していれば、施設種別にかかわらず確認する価値がある加算だと考えられますが、最終的には自院の届出状況や体制で確認してください。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省の公式資料を根拠としています。詳細な算定要件は必ず一次資料でもご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号・医科点数表 別表第一) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 令和8年度診療報酬改定について(診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について/令和8年3月5日 保医発0305第6号・医科点数表の関連資料一覧) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。