みらい(新人医療事務)
あおいさん、「特定一般病棟入院料」っていう入院料を見つけたんですけど、これって一般病棟入院基本料と何が違うんですか?名前が似ていて混乱してしまって。
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。特定一般病棟入院料は、区分番号A317の入院料です。一般病棟入院基本料とは別の区分で、対象になる病院の条件がかなり限定されているのが特徴です。令和8年度の一次資料を確認しながら、順番に見ていきましょう。
みらい(新人医療事務)
対象が限定されているって、具体的にはどんな病院なんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号、医科点数表 区分番号A317)の注1には、次のように定められています。
告示原文(注1)
医療提供体制の確保の状況に鑑み別に厚生労働大臣が定める地域に所在する保険医療機関(一般病棟が1病棟のものに限る。)が、一定地域で必要とされる医療を当該保険医療機関で確保するための体制につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者について、当該基準に係る区分に従い、それぞれ所定点数を算定する。
みらい(新人医療事務)
「一般病棟が1病棟のものに限る」というのが気になります。うちみたいに一般病棟が複数ある病院は対象外ということですか?
あおい(元・医療事務)
はい、その可能性が高いです。告示の注1が明確に「一般病棟が1病棟のものに限る」と限定しているので、一般病棟を複数持つ病院は対象外の可能性が高いと考えられます。加えて、留意事項通知(令和8年3月5日保医発0305第6号、医科点数表に関する事項)のA317の項目でも、対象がさらに具体的に説明されています。
対象になる医療機関はどんな病院か
みらい(新人医療事務)
留意事項通知には何と書いてあるんですか?
あおい(元・医療事務)
次のとおりです。
留意事項通知(1)
特定一般病棟は、医療提供体制の確保の状況に鑑み、自己完結した医療を提供しているが、医療資源の少ない地域に所在する一般病棟が1病棟から成る保険医療機関の一般病棟であり、当該病棟に入院した患者について算定する。
あおい(元・医療事務)
つまり、対象になり得るのは「医療資源の少ない地域にあり、自院で医療を完結させる必要がある、一般病棟が1つだけの病院」という、かなり特定された条件の病院ということになります。
みらい(新人医療事務)
「医療資源の少ない地域」って、具体的にどこを指すんですか?うちの地域が入っているかどうか、自分で判断してもいいものでしょうか。
あおい(元・医療事務)
そこは自己判断せず必ず確認してほしいところです。基本診療料の施設基準等の告示(令和8年厚生労働省告示第70号)の十九には、次のように定められています。
施設基準告示(1)
特定一般病棟入院料の注1に規定する厚生労働大臣が定める地域 別表第六の二に掲げる地域
あおい(元・医療事務)
対象地域は「別表第六の二」という個別の地域リストで指定されています。自院の所在地がこのリストに含まれているかどうかは、告示の別表を直接確認するか、加算チェッカーで確認することをおすすめします。地域が入っていなければ、この時点で対象外の可能性が高いと考えられます。

特定一般病棟入院料1と2の違い
みらい(新人医療事務)
対象地域の病院だとわかったら、次は何を確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
特定一般病棟入院料には「1」と「2」の2つの区分があり、それぞれ施設基準が異なります。同じ告示の十九から、看護配置と平均在院日数の基準を抜き出すとこうなります。
| 区分 | 看護職員の配置 | 看護師比率 | 平均在院日数 |
|---|---|---|---|
| 特定一般病棟入院料1 | 常時、入院患者13人ごとに1人以上 | 最小必要数の7割以上が看護師 | 24日以内 |
| 特定一般病棟入院料2 | 常時、入院患者15人ごとに1人以上 | 最小必要数の4割以上が看護師 | 60日以内 |
みらい(新人医療事務)
数字だけ見ると、入院料1の方が手厚い体制ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。告示の原文では、入院料1の施設基準についてさらに詳しく次のように定められています。
施設基準告示(2) 特定一般病棟入院料1
イ 一般病棟(診療報酬の算定方法第一号ただし書に規定する別に厚生労働大臣が指定する病院の病棟を除く。)であること。ロ 当該病棟において、一日に看護を行う看護職員の数は、常時、当該病棟の入院患者の数が十三又はその端数を増すごとに一以上であること。ただし、当該病棟において、一日に看護を行う看護職員の数が本文に規定する数に相当する数以上である場合には、各病棟における夜勤を行う看護職員の数は、本文の規定にかかわらず、二以上であることとする。ハ 当該病棟において、看護職員の最小必要数の七割以上が看護師であること。ニ 看護職員及び看護補助者の労働時間が適切なものであること。ホ 夜勤については、看護師一を含む二以上の数の看護職員が行うこと。ヘ 現に看護を行っている病棟ごとの看護職員の数と当該病棟の入院患者の数との割合を当該病棟の見やすい場所に掲示していること。ト ヘの掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載していること。チ 当該病棟の入院患者の平均在院日数(略)が二十四日以内であること。
みらい(新人医療事務)
夜勤の人数や掲示義務まで細かく決まっているんですね。ところで、肝心の点数はいくらになるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは正直にお伝えしますね。告示では「当該基準に係る区分に従い、それぞれ所定点数を算定する」とだけ定められていて、区分ごとの具体的な点数の数値は、当サイトが確認できた一次資料の範囲では確定できていません。区分によって金額が変わる仕組みになっているため、確認が必要な状態です。最新の点数は医科点数表の原文、または加算チェッカーで確認してください。
点数は要確認
特定一般病棟入院料1・2の基本点数(所定点数)は区分ごとに定められていますが、当サイトが確認できた一次資料の範囲では具体的な点数を確定できていません。断定はできませんので、必ず医科点数表の原文または審査支払機関でご確認ください。
入院期間に応じた加算と重症児(者)受入連携加算
みらい(新人医療事務)
基本の点数のほかに、加算のようなものもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。同じ告示の注2と注3に、入院期間に応じた加算と、転院患者向けの加算が定められています。
告示原文(注2・注3)
2当該病棟の入院患者の入院期間に応じ、次に掲げる点数をそれぞれ1日につき所定点数に加算する。イ 14日以内の期間 450点ロ 15日以上30日以内の期間 192点 3当該患者が他の保険医療機関から転院してきた者であって、当該他の保険医療機関において区分番号A246に掲げる入退院支援加算3を算定したものである場合には、重症児(者)受入連携加算として、入院初日に限り2,000点を所定点数に加算する。
みらい(新人医療事務)
14日以内は450点、15日から30日以内は192点の加算があるんですね。重症児(者)受入連携加算は転院患者が対象なんですか。
あおい(元・医療事務)
そうです。他院で入退院支援加算3を算定していた患者を受け入れた場合に、入院初日限りで2,000点が加算候補になります。ただし、これも転院元の算定状況の確認が前提になるので、レセプトの照合が必要です。
一般病棟入院基本料との関係
みらい(新人医療事務)
最初に聞いた「一般病棟入院基本料と何が違うのか」なんですが、両方とも似た名前で紐づいて出てくることがあって…。
あおい(元・医療事務)
実は、この2つの入院料には明確なつながりがあります。医科点数表の特定入院料に関する通則3には、施設基準を一時的に満たさなくなった場合の取り扱いとして、次のように定められています。
医科点数表 特定入院料 通則3(ウ)
特殊疾患入院医療管理料、回復期リハビリテーション病棟入院料(一般病棟に限る。)、地域包括ケア病棟入院料(一般病棟に限る。)、特殊疾患病棟入院料、緩和ケア病棟入院料(一般病棟に限る。)、特定一般病棟入院料及び特定機能病院リハビリテーション病棟入院料については、一般病棟入院基本料の特別入院基本料を算定する。
あおい(元・医療事務)
つまり、特定一般病棟入院料の施設基準に一時的に適合しなくなった場合は、一般病棟入院基本料の特別入院基本料を算定する、という代替規定でつながっているということです。同じ通則の中には、地域包括ケア病棟入院料も同じ扱いの対象として並んで挙げられています。両者は別の区分の入院料であり、特定一般病棟入院料が一般病棟入院基本料の一種というわけではありません。この違いを取り違えないようにしてくださいね。
みらい(新人医療事務)
なるほど、名前が似ているだけで、算定の仕組みとしては別物なんですね。

届出の流れ
みらい(新人医療事務)
対象になりそうだとわかったら、次にすることは何ですか?
あおい(元・医療事務)
特定一般病棟入院料は届出が必要な入院料です。施設基準に適合していることを地方厚生局長等に届け出た病棟でなければ算定候補になりません。届出が済んでいない病棟は、施設基準を満たしていても算定候補にはならない点に注意してください。
届出の有無を必ず確認
特定一般病棟入院料は、施設基準に適合しているだけでなく、地方厚生局長等への届出が完了していることが算定候補の前提です。届出内容と実際の病棟運用に差異がないかも、あわせて確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前の改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
今回確認した令和8年度の告示・留意事項通知・施設基準告示の範囲では、特定一般病棟入院料の対象要件(一般病棟1病棟に限る、医療資源の少ない地域に所在)や、入院料1・2の看護配置・平均在院日数の枠組みに関する大きな変更は確認されていません。ただし、これは今回参照した一次資料の範囲での確認であり、点数の具体的な数値までを前回改定と突き合わせたものではない点はご留意ください。最新の改定内容は、厚生労働省の個別改定項目に関する資料でも確認できます。
自院で確認する順番
自院で確認する順番
自院の一般病棟が1病棟のみかを確認する 自院の所在地が厚生労働大臣の定める地域(別表第六の二)に含まれるかを確認する 入院料1・2のどちらの看護配置・平均在院日数の基準に近いかを確認する 地方厚生局長等への届出状況を確認する 届出内容と実際の病棟運用に差異がないかを確認する
よくある取り漏れ
一般病棟が複数ある病院での誤認
一般病棟を2つ以上持つ病院は、告示の「一般病棟が1病棟のものに限る」という限定により対象外の可能性が高いです。分院や別病棟を含めて数えているか、確認してみてください。
重症児(者)受入連携加算の算定漏れ
他院からの転院患者を受け入れた際、転院元の医療機関で入退院支援加算3が算定されていたかどうかの確認が漏れると、重症児(者)受入連携加算の算定候補を見落とすことがあります。転院元への確認・レセプト照合を習慣化するとよいでしょう。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象地域や届出状況、病棟の看護配置を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。