みらい(新人医療事務)
先日、輸血のレセプトを見ていたら「HLA型検査クラス2加算」という項目があったんです。これって、うちのクリニックでも算定候補になることってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。まず前提として、この加算は誰にでも算定候補になる加算ではありません。輸血の中でもかなり限定された場面で出てくる加算なので、今日は令和8年度の一次資料に沿って、どういう場面で候補になりうるかを一緒に整理していきましょう。
HLA型検査クラス2加算とは
みらい(新人医療事務)
そもそも「HLA型検査クラス2加算」って、輸血のどこに出てくる項目なんですか?
あおい(元・医療事務)
これは医科点数表のK920「輸血」という項目に付く注加算のひとつです。輸血そのものとは別立ての、検査費用としての加算になります。厚生労働省の医科点数表では、K920の注7として「HLA型適合血小板輸血に伴って行ったHLA型クラスⅠ(A、B、C)又はクラスⅡ(DR、DQ、DP)の費用として、検査回数にかかわらず一連につきそれぞれの所定点数に加算する」という形で規定されています。
みらい(新人医療事務)
クラスⅠとクラスⅡ、2種類あるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。HLA型適合血小板輸血の前に行う検査には、A・B・Cという抗原を調べる「クラスⅠ」と、DR・DQ・DPという抗原を調べる「クラスⅡ」の2つがあって、それぞれ別の加算として設定されています。今日お話しする「HLA型検査クラス2加算」は、このうちのクラスⅡ(DR、DQ、DP)に対応する加算です。
点数とコードの整理
みらい(新人医療事務)
点数はどうなっているんですか?年度もちゃんと確認しておきたいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表では、クラスⅠが1,000点、クラスⅡが1,400点という規定です。今日の主役であるHLA型検査クラス2加算は、このクラスⅡ側の1,400点にあたります。診療行為コードは、医科診療行為マスター上で150278910、正式名称は「HLA型検査クラス2加算(DR、DQ、DP)」と登録されています。

| 区分 | 検査するHLA抗原 | 点数(令和8年度) | 診療行為コード |
|---|---|---|---|
| クラスⅠ加算 | A、B、C | 1,000点 | 150247110 |
| クラスⅡ加算(本記事) | DR、DQ、DP | 1,400点 | 150278910 |
みらい(新人医療事務)
クラスⅠとクラスⅡ、両方いっぺんに検査したらどちらも算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは資料の範囲では明確に「両方同時に算定できる」とは書かれていないので、確認が必要な点ですね。断定はできませんが、クラスⅠとクラスⅡはそれぞれ別区分の加算として規定されているので、実際にどちらの検査を行ったかをカルテ・検査結果に基づいて確認したうえで、算定できるかどうかを個別に判断する必要があります。
この加算が候補になる対象患者
みらい(新人医療事務)
「HLA型適合血小板輸血」って、具体的にどんな患者さんに行うものなんですか?
あおい(元・医療事務)
ここがこの加算のいちばん大事なポイントです。留意事項通知では、この注7の加算を算定できるHLA型適合血小板輸血について、「白血病又は再生不良性貧血の場合であって、抗HLA抗体のために血小板輸血に対して不応状態となり、かつ、強い出血傾向を呈しているものに限る」と限定されています。誰でも輸血の前にHLA型検査をすれば算定候補になる、という加算ではないんです。
みらい(新人医療事務)
「不応状態」というのはどういう状態ですか?
あおい(元・医療事務)
通常の血小板輸血をしても、抗HLA抗体があるために効果が出にくくなっている状態のことです。同じ通知では、対象となる患者の血小板数の目安として、白血病の患者は概ね2万/mm3以下、再生不良性貧血の患者は概ね1万/mm3以下を標準とする、とも示されています。この数値はあくまで「標準」という位置づけなので、実際の算定候補になるかどうかは、検査記録・カルテの記載と合わせて確認する必要があります。
対象患者はかなり限定的です
この加算は、輸血前にHLA型を調べたら常に算定候補になるわけではありません。白血病または再生不良性貧血で、抗HLA抗体により血小板輸血が効きにくい状態(不応状態)にあり、かつ強い出血傾向がある患者に限られます。対象疾患・血小板数・出血傾向の記録がカルテにあるかを必ず確認してください。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するのに、事前の届出とか施設基準は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できた一次資料の範囲では、このHLA型検査クラス2加算そのものに対する独立した施設基準の届出は見当たりませんでした。あくまでK920輸血という手技に付く注加算という位置づけです。ただし、輸血を行う医療機関では輸血管理料などの届出状況が別途関わってくる場合があるので、輸血に関わる体制全体を確認しておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
輸血管理料と混同しないように気をつけないとですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。輸血管理料は輸血療法の管理体制そのものを評価する別の項目なので、HLA型検査クラス2加算とは算定の性質が異なります。輸血管理料の届出状況を確認したい場合は、別記事の輸血管理料も参考にしてみてください。
算定単位と、あわせて確認したい関連項目
みらい(新人医療事務)
検査を何回もした場合、そのぶん加算も増えるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこは注意が必要です。点数表の規定では「検査回数にかかわらず一連につき」加算する、とされています。つまり、一連の輸血の中で複数回検査を行っても、加算としてカウントするのは一連につき1回という考え方です。回数分を単純に掛け算して算定候補にしてしまうと、実態と合わなくなる可能性があります。
みらい(新人医療事務)
輸血の他の加算とはどう違うんですか?似たような加算がいろいろありそうで、混ざりそうです。

令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から、この加算に変わったところってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)からの主な変更は、当サイトが確認できた一次資料の範囲では確認されていません(確認日: 2026年8月・厚生労働省の医科点数表・留意事項通知ベース)。HLA型検査クラス2加算は、輸血に関する加算の中でも長く運用されている項目のひとつで、令和8年度の医科点数表でも1,400点として規定が続いています。ただし、確認範囲は今回参照した一次資料に限られるので、自院での算定の際はあらためて最新の告示・通知を確認することをおすすめします。
自院で確認する順番
自院で確認する順番
- 対象疾患の確認: 患者が白血病または再生不良性貧血で治療を受けているか、カルテで確認する
- 不応状態・出血傾向の確認: 抗HLA抗体による血小板輸血不応状態と、強い出血傾向の記載があるか確認する
- 検査区分の確認: 実施したHLA型検査がクラスI(A、B、C)かクラスII(DR、DQ、DP)かを検査結果で確認する
- 回数の整理: 一連の輸血の中で検査が複数回行われていないか、算定単位(一連につき)を確認する
- 関連加算との照合: 血液型加算・不規則抗体加算・血液交叉試験加算など、同時に発生している他の輸血加算と重複や取り漏れがないか確認する
よくある取り漏れ
対象疾患の記載漏れ
輸血記録には検査結果だけが残っていて、対象疾患(白血病・再生不良性貧血)や不応状態・出血傾向についての記載がカルテに残っていないケースがあります。算定候補として整理する前に、これらの記載が揃っているかを確認しておくと後の照会にも対応しやすくなります。
クラスⅠとクラスⅡの取り違え
検査結果のうちどの抗原(A、B、CなのかDR、DQ、DPなのか)を調べたかを確認せずに、点数だけで区分を判断してしまうケースがあります。クラスⅠとクラスⅡでは点数もコードも異なるため、検査結果の記載内容から区分を確認することが重要です。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省の公式資料を根拠としています。詳細な要件は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚生労働省公式・令和8年度)
- 医科点数表(令和8年厚生労働省告示第69号)K920 輸血: https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号): https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732089.pdf
- 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第7号): https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732097.pdf
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象疾患や検査区分、輸血の実施状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。